第2章:感情知能指数:EQ


まず最初に、ホスピタリティを実践するために必要なことは「自分をよく知る」ことが重要です。
自分の強みや欠けている部分を知るために「EQ」と「TA」の2つの視点を紹介していきます。

EQとは?

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、感情知能指数のことです。

  • 個人が自分の感情を認識して把握する能力
  • 感情を制御する能力
  • どんな状況でも前向きに立ち向かおうとする能力
  • 他人の感情を認識して共感する能力
  • 社会的な常識力(良好的な人間関係を保つ力)

を意味します。
次に紹介するEQの5つの能力をバランスよく保つことは、ホスピタリティの実践に欠かせません。
それぞれ、どのような能力か、またどうしたらその能力を高めていけるかを説明していきます。

EQの5つの能力と高める方法

①自己認識力

自己認識力とは、自分の感情を的確に認識するための能力です。
日常生活の中での運動や息抜きなど、自分がリラックスできる行動を通して、自分を見つめ直す時間を取るようにします。

適度にゆとりある心を持っていると、自分の感情の把握ができるようになります。
自分の感情を冷静に認識することで、自分の気持ちの変化や動揺にも対応することができます。

②感情制御力

感情制御力とは、自分の感情をコントロールし、不安・苛立ちを乗り越える能力です。
感情の安定を保ちながら、必要以上に制御することなく、状況に相応しい柔軟な感情表現を心掛けます。

また、感情の動きの中で直面する「不安」「怒り」は、その原因を認識したうえで、冷静に対処をしていきましょう。

③自己奮起力

自己奮起力とは、自分の目標に対して、前向きに気持ちを奮い立たせる能力です。
自分の持っている潜在的な能力を発揮できるように、集中力を持続して、たとえ失敗しても挫けない気持ちを持つことが大切です。

④共感力

共感力とは、周囲の人の気持ちを読み、その人と感情を共有する能力です。
この時、他人の感情を的確に把握するためには、まずは自分の感情を把握する事が重要です。
相手の話をじっくりと聞き「相手の表情」「声の抑揚」「身振り」といった、言葉以外の情報をもとに、どのような伝達方法からでも受け止められるように意識し、相手の立場を思いやる姿勢が大切です。

⑤社会的常識力

社会的常識力とは、人間関係を良好に保ち、周りの人と協調性を持って行動する能力です。
日常からの情報収集、組織内外に相談できる人的ネットワークを持つことが重要です。
仕事中には、チームプレーを念頭に置き、独断専行しないよう心掛けましょう。

EQの要素とは?

EQの5つの要素を養い、バランスよく活かしていくことは、ホスピタリティの実践へとつながっていきます。
ビジネス・日常生活の様々な場面・状況によって、どの要素が求められるのかを考えていきましょう。

EQの能力は独立しているものではありません。
それぞれが密接に関わり合っています。

例えば「自己認識力」を高め、自分の気持ちを的確に捉えることができれば、自分の感情をコントロールするための「感情制御力」も高められていきます。
よって、1つの状況に対して、複数のEQの能力が求められることもあります。

EQの要素を高める

EQの各能力を高めることで、自分を客観的に見つめる力が向上していきます。
それを活かすことで、人間関係の質をより良いものにしていくことができます。

この時の注意点は、EQの各能力がバランスよく全体的にアップすることがホスピタリティの実践に望ましいということです。
例えば、共感力が強い場合に、相手の感情に引きずられてしまうことで、冷静な判断を見失うこともあります。

そして、過度な感情制御力の働きは、人間が持つ本来の喜怒哀楽の情を押さえつけてしまい、冷たい印象を周囲に与えたり、感情で物事を味わう楽しみを失ってしまうこともあります。

そのことから、偏った能力のアップではなく、バランスよく全体的にアップさせることが重要です。
共感力」「社会的常識力」「自己認識力」以外のEQの能力についても、高めるための行動例を紹介していきます。
自分に合った方法を見つけていきましょう。

  • 感情制御力:不安・怒りに直面した際に、それらの原因を認識し、不安なことが起きる可能性を冷静に分析するなどの不安抑制に役立つ考え方をする。
  • 自己奮起力:困難に直面した際には、自分に自信を持って立ち向かうようにし、自信の持つ潜在的な力を発揮できるように自分を動機づけて集中力を持続させる。

確認問題

第2章で学んだことを確認してみましょう。