第1章:ホスピタリティの基本とは?


ホスピタリティの考え方は人それぞれで、100人いれば100通りの考えがあるのは当然です。
それを前提に、ホスピタリティは良好な人間関係の構築と維持のために、社会で必要な事柄を確認するという狙いがあります。

多様性を認めながらも、ホスピタリティ試験という性格上、その基準となる理念や考え方、見解に沿って適否を判断します。
まずは、本講座を通じて今後に役立つホスピタリティを確認していきましょう。

ホスピタリティとは「まごころを伴った言動」です。
以下がホスピタリティを実践する上で心掛けたいことです。

  • 相手の立場に立った言動を心掛ける
  • 相手も自分も大事にする
  • 違いを認めて、受けとめ、生かす努力をする
  • 物事を肯定的に捉える
  • 心を込めた誠実な言動
  • 挨拶や感謝の言葉を積極的に

ホスピタリティ・マインドとは?

ホスピタリティ・マインドとは、ホスピタリティ実践のための基本的な考えです。
まずは、次の3つをご紹介していきます。

3つのホスピタリティ・マインド

  1. 思いやり:相手を大切に思って、相手の立場に配慮する
  2. 人間尊重:相手も自分も大切に
  3. 多様性の需要:違いを認め、誠実に受け止めて生かす努力をする

上記3つのホスピタリティ・マインドを意識すれば、誰にでもホスピタリティを発揮することができます。
相手を大切にする「気遣い・言動」人の「痛み・喜び」を思いやる心がホスピタリティです。

ホスピタリティは、すばらしい能力のある人にしか発揮できないような、特別なものではなく、1人ひとりの個性・価値観の違いを受け止め、敬う心があればホスピタリティを発揮する事が可能です。

ホスピタリティ・アクションとは?

上でご紹介したように「ホスピタリティ・マインド」は言動に結びついて、はじめて相手に伝わるホスピタリティになります。
そこで、ホスピタリティに基づく言動の基本である「ホスピタリティ・アクション」の3つをご紹介していきます。

3つのホスピタリティ・アクション

  1. 目配り:相手の状態・周りの状況を見て、言葉にしたり行動を起こすこと
  2. 気配り:見るだけでは気づきにくいことまで、広く細やかに気を使って言動を工夫すること
  3. 心配り:相手のために心を働かせ、自分にできることを探して言動に移すこと

上記3つのホスピタリティ・アクションは、それぞれが独立しているわけではなく、連動し合ってホスピタリティの実践につながっています。

共創

相手の立場を尊重することは、ホスピタリティの実践に欠かせません。
相手だけが一方的に得をする状況は、ホスピタリティが発揮されているとは言えません。
また、相手にとっても自分にとってもプラスとなる関係がホスピタリティには相応しく、そのような関係を「Win-Win」の関係と呼んでいます。
このようなWin-Winの関係は「共創」することで生まれます。

共創とは、お互いの価値観を認め合い、信頼のもとで新しい価値を作り上げていくことです。

例えば、ビジネスで言えば、単なる売り手と買い手の関係ではなく、出会った人々が共に知恵を出し合って、よりよい物やサービスを作り上げていくことです。
共創することのメリットは、双方がそれまでに気づかなかった潜在的なニーズが明らかとなって、それらが新しいサービスや製品開発に発展する可能性があります。

相手と共創していくためには、相手の良い部分を見出していくと同時に、自分の課題にも気づく姿勢が必要です。
そして、自分の課題を克服しながら成長していくことで、新しい共感・共創へとつながっていきます。
お互いを尊重して、共感の価値を創り上げていくことで、人間関係の質が高まることもお互いにとってのWinとなります。

ホスピタリティの考え方

ホスピタリティの実践は、人間の敬意にもとづいて、物事を肯定的に捉えていく必要があります。
また、違いを受け止めて生かすことが基本であり、ホスピタリティの発揮は様々なビジネス・日常生活において良好な人間関係を築いていく推進力となります。

Why的発想を意識しよう!

人は、1人ひとり考え方や性格が違います。
その違いを活かすことが、ホスピタリティの実践には重要となっています。
それは、長所を伸ばして短所を直すという考えではありません。

強み・弱み」をひっくるめて、その人の個性として捉えます。
その個性を活かせる条件・場を作ることが、1人ひとりの違いを活かすことでもあります。

上記を前提に、物事の本質や「Why(なぜ)?」という事を意識する人と、効果的・効率的にを意識する人が存在します。
同じ人間の中にも両者がおり、双方のバランスが取れていることが望ましいですが、忙しい職場では、ついつい後者である「効果・効率的」ばかり意識されてしまいます。

物事の「理由・原因・目的」を理解しながら、本質を追求しようとする考え方のことを「Why的思想」と呼んでいます。
また、人が行動を起こすことには、理由・目的があり、その理由や目的を考えていくことで、更に的確に相手を想像して理解することが可能となっていきます。

今の日本の会社や企業で必要とされているのは、Why的思想を持つ「Why型人間」です。
「Why(なぜ)?」と「効果的・効率的」をバランス良く意識していきましょう。

確認問題

第1章で学んだことを確認してみましょう。