第5章:行動で操るあの人の心

毎朝合う人を好きになる

顔を合わせただけで好きに?

人は、頻繁に顔を合わせる人に好意を抱きます。そのような簡単なことで、本当に好きになってもらえるのかと思うかもしれませんが事実です。これを「単純接触の原則」といって、アメリカの心理学者ザイアンスが実験でも証明したことから「ザイアンス効果」と呼ばれています。

ザイアンスの実験では、実験参加者に無意味な図形や初めて見る人物の写真を、数回回数を変えて見てもらいました。その後、実験で呈示した写真について感想を求めると、提示回数が多い図形や写真に対してより好ましいと評価しています。

その提示回数がわずか1回でも、初見の図形や写真より好ましいと感じています。つまり、普段からよく顔を合わせる相手に対しては、それだけで好意を抱きやすいということになります。

しかし、1つだけ条件があります。第一印象が「よい」または「よくも悪くもない」ことです。第一印象が悪いと、その印象を引きずるので何度顔を合わせても好きになることはありません。「初頭効果」によるもので、これを覆すのは容易ではありません。

似た者同士はうまくいく

自分と似た人とは認知的バランスが安定しており、好意を抱きやすい。これを「認知的バランス理論」といいます。

上記画像の3つの関係の符号をかけて「-」だとバランスがとれず不快です。どこかの関係を変えて「+」にしようと動機づけが起こります。好きな相手の好きな趣味を自分も好きになると良いです。

自分と似ていれば安心できる

自分が恋人にしたい理想のタイプと実際に好きになった人が違ったというのはよくある話です。そして、好きになった理由を聞いてみると「お互い好きな趣味が同じ」「出身地が近い」など、相手と何らかの共通点・類似性があることが非常によく見られます。これこそが、恋愛においては重要な決め手となります。

趣味・嗜好が似ていたり、共通の話題があると一緒に過ごす時間がとても楽しく、相手に好意を抱くようになります。これを「同好の報酬性」といいます。

互いを認め合える

共通の趣味・嗜好が同じ人を好きになるのは「社会的交換理論」によって説明できます。この理論では、人間関係を「心理的コスト」と「心理的報酬」の2面からとらえていきます。

心理的コストとは、簡単に言うと気を遣うことであり、これは心理的負担となります。趣味・嗜好が同じなら、説明しなくても気兼ねなく相手を誘えて、一緒に盛り上がることができます。そして、考え方や意見が似ていると自分を支持してもらえます。

特に異性からの支持は、同性からの支持より強い自信になります。その結果、欲求が存分に満たされて、大きな心理的報酬となっていきます。

自分の気持ちが友情・愛情なのかわからない

無理に結論を出さなくてもよい

自分の気持ちでも、全てをはっきりと自覚できるわけではありません。そのため、自分が相手のことを好きなのかがよくわからないことも珍しくありません。

では、相手から好きだと告白されたものの、自分の気持ちがわからないときはどうすればよいかというと、その場で無理に結論を出さないことです。

好きかどうかがわからないのは、少なくてもその時点では相手を好きではないからです。よって、告白されたからといって無理をして付き合う必要はないということです。友達として付き合っていくうちに好意を抱くようになるかもしれません。

そのまま友達で終わることもありますが、焦って結論を出さないことが大切です。

「好き」の違い

友情も愛情も基本的に、相手に好意を抱いているからこそ成り立つ感情です。それもあり、ときに境目が曖昧になることもあります。

アメリカの心理学者であるルビンは、恋愛感情と好意は別物であると唱えており、線引きをするためにそれぞれ3項目からなる「愛情尺度」と「好意尺度」を設けて実験を行いました。愛情尺度とは「親和・依存」「援助」「排他的」の3項目です。一方の好意尺度は「好意」「尊敬」「類似」の3項目です。

実験では、恋愛中のカップルに両方の尺度についてお互いの相手について評価して、さらに自分の友人について評価してもらいました。すると、愛情と好意の間に顕著な一致はなく、はっきりと区別できるという結果が得られました。

男性は元カノに連絡してしまう

女性は切り替えが早い

男女が別れることになったとき、その後の立ち直り方は大きく異なります。

女性はすぐに切り替えて、次の恋へと進んでいきます。進化論的に女性はひとりの男性に障害庇護してもらうので、ダメになったら別の相手を探していく必要があるからです。

もちろん別れた直後は落ち込みますが、友達とストレス発散をして上手に乗り切れる人が多いです。

男性はショックが長続きする

男性は失恋したとき、恋人と別れた後にはかなり長い間ダメージを引きずります。進化論的に、自分のテリトリーや獲物を奪われることを非常に嫌がります。

一度手にしたものを失うということは、自分の存在価値を否定されたように感じてしまうからです。そのため、自分のもとから女性が去ったというショックを引きずりやすいです。

彼氏や夫が元カノの連絡先を削除せずに残すのも、写真や思い出の品物を捨てずに取っておくのもこのためです。また、男性は論理的に物事をかんがえるため、別れの原因を分析して「ああすればよかった」と悔やんで、中々前に進んでいくことができません。

さらに、離婚の場合にはもっと悲惨です。女性は適応力があり、離婚後も自分で生活を立て直すことができますが、男性は不得手の家事や生活の乱れから、免疫力が低下して心身ともに病気にかかりやすいことがわかっています。

ドキドキは恋心と勘違いしやすい

異性への好意と思い込む

好きな人に会うと、嬉しさや緊張で心臓がドキドキします。これは当たり前の生理的な反応です。

一方で心臓がドキドキしているとき、自分の近くにいる人に恋をしてしまうことがあります。これを「吊り橋効果」という。心理学者のダットンアロンの実験で、その効果が証明されている。

実験では、女性が木の普通の橋と吊り橋の上でそれぞれ男性に話しかけてアンケートを依頼して、連絡先の電話番号を渡します。すると、後日女性に電話をかけてきたのは、吊り橋でアンケートに答えた男性の方が多かったです。

吊り橋は揺れてとても不安定です。男性は、そのスリルからドキドキしたことを恋愛感情や性的興奮によるものと思い込んで、相手を好きに思ってしまいました。人は、自分の気持ちでもこうして読み違えることがあります。

恐怖・暗闇は恋につながる?

吊り橋の不安定さによるドキドキに似た効果があるのが暗闇です。人は暗い場所が苦手であり、誰かと居ることで安心感を得たいと思っています。人と一緒に居たいと思うことを「親和欲求」といいます。

お化け屋敷や暗がりを演出したジェットコースターなどでは親和欲求が高まっているうえに、恐怖心によるドキドキもプラスされます。そこに男女がいれば、親和欲求の高まりと心臓のドキドキを恋だと錯覚しても不思議ではありません。

また、人は明るい場所よりも暗い場所の方が大胆になりやすく、性的興奮が高まったり「自己の過剰露呈」が起こりやすくなったりすることも明らかになっています。自己の過剰露呈とは、自制心や理性が薄れて、自分の気持ちや欲求をさらけだしてもよいと思うことです。

そのため、薄暗い映画館や水族館では自然に手をつないだり、肩を寄せ合ったりしやすく、新密度を増す効果があります。

確認問題

第5章で学んだことを確認してみましょう。


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