第8章:在宅ワーカーの業務に関する基礎知識

第8章では、一般的に在宅ワークとして受注しやすい業務についての基礎知識を学びます。

自分がどのような業務に向いているか迷っている方は、この章で学んだ内容をヒントに考えてみましょう。

また、すでにどんな案件を受注したいか決まっている方も、他の職種についても一通り学んでおくことで、発注者の意図が組みやすくなったり、仕事の流れを想定しやすくなったりするというメリットがあります。

Web関連業務の一般的な流れ

在宅副業・在宅ワークの中でも、WebデザインやWebライティングの案件は他と比べて受注しやすいものが多いです。案件数自体が豊富なうえに、作業量と報酬額のバランスが取れたものが多いので、しっかり稼ぎたい方にも適しています。

ここでは「Web関連業務」としてWebデザインとWebライティングを中心に、一般的な業務の流れを学びましょう。

役割分担の例

下の図は、WebデザインやWebライティングの大まかな流れをまとめたものです。

WebデザインやWebライティングの案件は、この図のすべての業務を担当する場合もあれば、一部のみを担当するものもあります。案件受注時に、自分の担当範囲はどこからどこまでかをしっかり確認しておきましょう。

Webデザインについての知識

Webデザインは、主に「デザインの方向性を決める企画段階」と「デザインを作成する段階」「制作したデザイン通りに表示されるように実装するコーディングの段階」に分けられます。

そもそもWebデザインとは何か

Webデザインとは、言葉の通り「Webページのデザインのこと」です。私たちが普段目にするWebページは、実は文字列によってさまざまな設定が施されています。

もしも「Webデザイン」と呼ばれるような工程を挟まなかった場合、下記の図のようなページになるでしょう。これではどうにも味気がありません。

Webデザインが重要な理由

一つ前の見出しにある画像のように、Webデザインが適用されていないWebページには、最低限の装飾しかありません。何らかの意図があり、わざとこうしたデザインにしているのであれば話は別ですが、そうでないのならば訴求力に欠けるといえるでしょう。

Webページは無数にあり、その中で自分のページを見てもらおうと思うなら、ページのデザインは重要です。

Webデザインの流れ

Webデザインを行う場合、そのページについて「誰に向けたものなのか」「どんなことが書いてあるのか」「読者に何を伝えたいのか」などを考えながら作業する必要があります。

Webデザインが実際に公開されるまでの大まかな流れは、以下のようなものです。

デザインの方向性決め

Webページの企画を行うステップです。主に発注者側で行われます。案件によっては、発注者と在宅ワーカーが相談しながら方向性を決定していく場合もあります。その場合、在宅ワーカーが発注者の意図をしっかりと汲み取って確認しながら作業を進めるのが重要です。

デザイン作成

どんなWebページにするか、どんなボタンを設定するか、どことどこにリンクをつなげるかなど、実際にWebデザインを煮詰めていくステップです。案件によって何をどれだけ考える必要があるかは大きく異なります。企画段階や案件受注段階で確認しておきましょう。

コーディング

作成したWebデザインを実装するステップです。ホームページ作成用の「コード」などと呼ばれる文字列を使用します。このときに使われるコードにはいくつか種類があり、多くの場合発注者側から指定されます。自分が扱えるコードかどうか、受注時に確認しましょう。

Webデザインについては第11章でも詳しく学習します。そちらもしっかり理解しておきましょう。

Webライティングについての知識

Webライティングで作成された記事は、最終的に各種媒体で公開されます。案件に取り組む際は、その記事がどういった目的で作成されるのかを意識しながら作業することが重要です。

Webライティング業務の重要なポイントや考え方を学びましょう。

Webライティングの需要と現状

さまざまなジャンルのWebライティングの案件が存在します。アフィリエイトで収益を得るWebサイトの記事執筆を担当するものや、企業が発信するニュース・メルマガの執筆代行、また、ライターとしてインタビューや取材を行いそれを記事にまとめるものなど、本当に多様です。

その中で、在宅副業ワーカーが受注しやすいのはアフィリエイト系Webサイトの案件だといえるでしょう。クラウドソーシングサービスでも豊富に募集があり、初心者歓迎の案件も多いためです。こうした案件の多くは、執筆した記事を納品したら権利を譲渡する契約になっています。

もし、この先ライターとして名前を出して活動していきたいと考える方は、自分のサイトなどを作って実績を積み立てましょう。ただし、サイト運営で収益を得るには時間やノウハウが必要です。いきなり自サイトに全力を尽くすのではなく、案件を受注する傍らで自サイトを運営するのが現実的だと考えましょう。

Webライティングで重要な知識

Webライティングの案件は、「キーワード選定」「記事の構成作成」「記事の本文執筆」「記事の入稿」の4つのステップに分けて考えると取りくみやすくなります。案件によって、Webライターがどのステップを担当するかが異なるので、受注時に確認しましょう。

一般的に、それぞれのステップでは、以下のような作業を行います。

キーワード選定

「何について、どんなキーワードで書くか」を決める作業で、特にアフィリエイト系の案件で重要です。「検索件数が多い=世間が関心を持っている=記事が注目されやすい」という考えに基づき、需要のありそうな記事はどんなものかを探るために行います。

在宅副業ワーカーが受注することの多い案件では、発注者側がこのステップの作業を行うケースが多いです。その場合でも、なぜキーワードの指定があるのかを意識しておくことで、発注者のニーズに沿った記事を作成しやすくなります。

記事の構成作成

記事で執筆する内容を方向づけるために、見出しの構成を作成するステップです。複数人がかかわる記事を執筆する際は、それぞれが思い描く完成記事に差が生じます。先に見出しの構成を決めておくことで、その差を小さくできるのがメリットです。

在宅副業ワークでは、この「記事の構成作成」のステップのみを担当する案件もあれば、「記事の構成作成」はせず「記事の本文執筆」「記事の入稿」までを行う案件、「記事の構成作成」と「記事の本文執筆」「記事の入稿」まで担当する案件もあります。

文章を書くことに慣れていない場合は、構成作成を担当しなくていいものを探してみると良いでしょう。

記事の本文執筆

実際に記事を執筆するステップです。多くの場合、事前に作成している構成に従って記事を書き進めます。

案件によって、それぞれレギュレーション(決まり事)が設定されています。例えば、「同じ語尾の連続は2回まで」というものや、「数字・アルファベットは半角のものを用いる」などの細かなルールです。内容は、Webサイトや企業・個人の方針によって大きく異なります。

日本語の文章の決まりに従うのはもちろんのことですが、案件ごとのレギュレーションにも従わなければなりません

また、文の硬さ(一般的には話し言葉に近いもの・言葉遣いのやさしいものを「柔らかい文」といいます)についてもそれぞれのカラーがあります。

ファッションアイテムを紹介するポップな記事と、事件などのニュースについての記事の文体が異なるようなものです。掲載するページがわかっている場合は、そのページにすでにある別の文章などを参考にしてみましょう。

記事の入稿

執筆した記事を、閲覧できる状態にするためのステップです。Wenサイト編集ツールなどを用いて、指定通りに入稿します。このステップは、記事の本文執筆とセットになっているケースが多いです。

ただ文章を流し込むだけでなく、画像を挿入したり文字に装飾を施したりして見やすい記事を作成します。

どんなツールを使っているか、またどんな風に装飾をするのかなどのルールは、案件によって異なります。在宅副業ワークの場合はマニュアルが用意されているケースが多いため、ツールの使用方法についてはそちらで確認が可能です。(不安な場合は「マニュアル完備」などの記載がある案件を選びましょう)

また、Webライティングで使用されることの多いツール・Wordpressについて、概要・基本操作などを第10章で学びます。そちらも参考にしましょう。

SEOについての基礎知識

アフィリエイト系の案件をはじめWeb記事の作成では、検索エンジンの傾向や想定する読者の思考に沿って記事を作成します。そのため、検索KWや関連(サジェスト)KWなどを盛り込みSEO対策をするケースが多いです。

SEOとはSearch Engine Optimizationの略称です。日本語訳すると「検索エンジン最適化」になります。SEOを意識して記事を作成することで、Google・Yahoo!などの各種サーチエンジンで検索した際に、その記事が人目に付きやすくなります

Webならではの文章作成のコツ

Webで見る文章は、書籍や雑誌の文章と少し違う部分があります。

例えば、「Webの文章では、一つの段落はあまり長くない方が良い」という点です。近年では多くの人がスマートフォンからWeb記事を閲覧します。多くのスマホは横幅が短いため、文が長くなるとその分たくさんスクロールしなければなりません。

このとき、一つの段落の文章が長すぎると、画面が文字でごちゃごちゃして見難く、書籍よりもさらに内容が頭に入りにくくなります。そのため、意味の切れ目よりも見やすさを優先して段落を変えたりするケースが多いです。

他にも、「Webの記事はすぐに読むのをやめて違う記事を探せる」という点も、書籍との違いです。購入した書籍は、「買ったのだから読もう」と考える方も多いですが、Webの無料で読める記事はそうはいきません。そのため、読者が離れない工夫をする必要があります。

「Webライター資格」で詳しく学ぼう

Webライティングについての技術をさらに高めたい方や、「あまりライティングの経験がないけれどWebライティングの案件を受けたい」という方は、もっと詳しい内容やコツを学んでみましょう

本講座を運営している「Smart資格」では、「Webライター資格」講座を用意しています。ここで学んだ内容をさらに深めて学び、実際の在宅ワークに活かせる資格です。ぜひご検討ください。

その他在宅ワークの代表的な種類

ここまで、在宅ワークの中でも案件を受注しやすいWebデザインやWebライティングを中心に学習してきました。

しかし、実際の在宅ワークで発注されている案件内容は多岐にわたります

Webデザイン・Webライティング以外にも在宅でできる仕事の代表的なものとして、下記が挙げられます。

ロゴ・グラフィックの制作は、デザインの知識をお持ちの方におすすめです。ただし、実績があると案件を受注しやすいですが、そうでない場合はなかなか難しいという実態があります。初心者OKの案件を探したり、コンペ型の案件に挑戦して実績を作ったりして長期的に進めましょう。

イラスト制作や動画制作は、自分の持つ技術を活かして案件を獲得したい方におすすめです。ただし、こちらも実績の有無が受注しやすさに大きく影響します。イラストや動画専門のスキルシェアサービスなどを活用してみましょう。

データ入力は、「ひとまず簡単な作業系の副業から挑戦してみたい」という方におすすめです。パソコンがあれば誰でも応募できる案件が多いです。ただし、一件当たりの報酬額は低めのため、たくさん稼ぎたい方は別の案件とあわせて受注しましょう。

在宅でできる添削や指導は、在宅ワークの中では高単価の案件が多いです。ただし、アルバイトの形式になっているものが多く、すでに企業などに所属している方は受注しにくいので注意しましょう。

確認問題

第8章で学んだことを確認してみましょう。