第7章:在宅ワークとお金

在宅ワーカーとして活動していくにあたり、お金周りの知識は欠かせません。支出の管理や税金について、自分でしっかりと管理する必要があります。これは副業として在宅ワークを行う方にとっても重要なことです。

第7章では、在宅ワークに関連するお金周りの重要事項を学習しましょう。

在宅ワーカーが気にしておくべきお金の種類

生活していくうえでお金はとても大切です。気にしておくべき事項を挙げればキリがありません。

そのため本講座では、在宅ワーカーが気にしておかなければならないお金の種類を、少し強引ではありますが3つに分類しました。これから学ぶのは、最低限知っておかなければいけない部分です。

案件報酬とそのほかの収入

在宅ワークでの収入は主に「報酬」として支払われます。

報酬額は、案件を受注するタイミングで必ず明確にしておきましょう。その際、どこまでの作業が案件に含まれているのかとあわせて確認するのが重要です。作業量を明確にしておくことで、追加作業を頼まれたときにその分の報酬を請求しやすくなります。

また、報酬額を確認する際は「源泉徴収が行われるのか否か」を確認しておきましょう。確定申告時に、納めている税金に過不足がないか調べるために必要です。

作成した請求書はいつでも見返せるように自分で管理しておきましょう。報酬が支払われたら、請求書通りの金額であるか確認し、問題なければその案件は終了です。

さらに、副業として在宅ワークを行う場合は、企業で得る収入についてもはっきり確認しておきましょう。税金の申告の際に正確な情報が必要になります。給料明細をいつでも確認できるようにしておくとわかりやすいです。

税金

確定申告をはじめとする、税務署への申告・申請について、「聞いたことはあるけれど、難しそう。よくわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

フリーランスとして働く場合は、基本的に毎年税務署への申告が必要です。副業として在宅ワークを行う場合も、在宅ワークで年間20万円を超える収入を得た場合には申告が必要になります。

税金についてはこの章の後半で詳しく学びましょう。

助成金・給付金

副業ではなく、フリーランスとして活動する方は、助成金や給付金などの対象になる場合があります。特に、2019年の新型コロナウイルス流行以降、在宅ワーカーを支援する助成金がいくつか用意されました。

事業再構築補助金・小規模事業者持続化補助金・ものづくり支援金など、さまざまな種類があります。また、住んでいる地域によっては地方自治体が実施している支援を受けられる場合もあるので、都道府県や市町村のホームページをチェックしてみましょう。

在宅ワークの報酬

この項目では、在宅副業ワーカー・在宅ワーカーが報酬を得る場合の主な流れや仕組みを学びます。

大きく分けて「クラウドソーシングサービスを経由する場合」「直接講座に振り込まれる場合」の2つがあります。それぞれの特徴を知って、案件や状況・要望に応じて使い分けられるようになっておきましょう。

クラウドソーシングサービスを利用する場合

初心者が在宅副業ワークを行う場合は、クラウドソーシングサービスを利用するのがおすすめです。

第4章で学習したように、クラウドソーシングサービスは、発注者と受注者の橋渡しを行います。その際にトラブルが起きにくいように、「仮払い」などの制度を導入しているサービスが多いです。

「仮払い」とは、サービスが発注者から一時的にお金を預かっておく制度で、受注者が納品してからそのお金を受注者に支払います。この手順を踏むことで、「納品したのにお金が振り込まれない」というケースを減らすのが狙いです。

サービスによって細部は異なりますが、以下のような流れを理解しておくといいでしょう。

メリットとデメリット

クラウドソーシングサービスを利用するメリットは、なんといっても「トラブルが起こりにくい」という点です。

在宅ワーク案件の多くは成果報酬型です。この場合、報酬は納品物に対して支払われるため、事務作業などを行っている時間は「直接お金になっていない時間」といえます。

報酬関連のトラブルが起こっても、金額が低い場合は泣き寝入りになってしまうケースも多く、そうした性質も相まってトラブルが起こりやすい状況があります。

そんな中、クラウドソーシングサービスの「報酬未払いトラブルの起こりにくさ」は、大きなメリットです。

ただし、使い方によってはトラブルが起こる可能性が高まってしまうので、サービスごとのガイドラインを遵守しましょう。

一方で、デメリットといえる点もあります。

クラウドソーシングサービスには利用料がかかるという点です。発注者が支払う報酬額からサービス利用料が引かれるため、「実際に口座に振り込まれる額が思っていたよりも少なかった」というケースもあります。

年間20万円以下の副業収入内で活動する場合は、注意しておきましょう。

個人事業主として確定申告等を行う場合は、クラウドサービス利用料は、経費(通信費や支払手数料扱いとする場合が多いです)として計上できます。サービスを利用した場合は忘れず計上しましょう。

口座振り込みの場合

在宅副業ワーク案件の中には、クラウドソーシングサービスを経由しないものもあります。その場合の報酬は、直接口座に支払われるのが一般的です。

クラウドソーシングサービスを経由しない案件は、別の案件を受注していた際の縁などで紹介されたり、SNSなどで直接契約を交わしたりしたものが該当します。

トラブル防止のため、信用できる取引相手かどうかを見極めて受注するのがポイントです。

メリットとデメリット

口座振り込みの場合は、クラウドソーシングサービスを利用しないため利用料がかかりません。(振込手数料がかかる場合はあります。)働いた分がそのまま報酬として入ってくるイメージです。そのため、手元に直接入る金額が大きいという点がメリットといえます。

一方で、報酬未払いなどのトラブルが起こりやすいというデメリットがあります。もちろん、しっかりと案件を遂行したにもかかわらず未払いの場合は発注者に請求することはできるのですが、先述の通り泣き寝入りになるケースも多いです。

第13章では、報酬が支払われない場合に取るべき対応について紹介しているのでそちらも確認してみましょう。

在宅ワークと税

将来的に個人事業主として在宅ワークを行う予定の方は、税金についても詳しく学んでおく必要があります。また、副業の場合も年間20万円以上の報酬を獲得している場合は申告・対応が必要です。

在宅ワークと、関連性の高い税について学びましょう。

フリーランスが行うべきこと

個人事業主・フリーランス・年間の収入が多い在宅副業ワーカーが、知っておくべき知識や行うべき対応を学習します。ここで学ぶ重要事項は以下の通りです。

確定申告

確定申告は、実際の生活で触れる機会がない方にとっては馴染みのないものかもしれません。「確定申告という言葉は聞いたことがあるけれど、よくわからない」と不安に感じている方は多いです。

基本的に確定申告とは、所得税を確定するための税務署(国)への申請を指します。申告者は1年間の「所得(売上から経費を除いたもの)」を申告し、税務署はそれを見て次年度の所得税を決定するという仕組みです。

必要書類を作成して、税務署へ提出することで申告を行います。

申告が必要であるにもかかわらず行わなかった場合、ペナルティがあります。

個人事業主やフリーランスのほかにも、確定申告が必要になる場合があります。

例えば、副業での所得が年20万円を超えた人などがこれに該当します。少し珍しいところでは、懸賞などで大金を手にした人もその年度は申請が必要です。

下記は、確定申告をする必要があるケースを一覧にまとめたものです。自分が該当するかどうかしっかり把握しておきましょう。

どうしても判断がつかない場合は、お近くの税務署へ相談するのがおすすめです。

また、確定申告が必要でない場合でも、自分で申告することは可能です。税金を多く支払っている場合は申告することで還付金を受け取れます。

青色申告と白色申告

確定申告には、いわゆる「青色申告」と「白色申告」があります。副業として在宅ワークを行う場合は、基本的に白色申告です。

白色申告は対象者の範囲が広く、青色申告と比べて申請が簡単という特徴があります。ただし、控除額は青色申告よりも低いです。

一方、青色申告をするためには、事業者登録を行う必要があります。申請書類の作成も少し複雑になりますが、受けられる控除額が白色申告よりも高いです。

確定申告で役立つツール・サービス

「確定申告って難しそう。自分にできるか不安」という方も多いでしょう。しかし、安心してください。確定申告に役立つツールやサービスはたくさん存在します。

下記にいくつか紹介するので、必要に応じて詳しく調べてみてください。

弥生の確定申告・freee

確定申告のための書類作成に役立つツールです。操作画面に従って必要情報を記入すると、自動で書類を作成します。複雑な税についての知識がなくても書類作成できるのが魅力です。

e-Taxソフト

国税庁が用意している「確定申告をネット上で行うためのツール」です。従来の確定申告では、書類を作成して税務署まで赴いて提出、もしくは郵送する必要がありました。e-Taxソフトを利用することで、自宅に居ながら確定申告を完了できます。ただし、マイナンバーカードを所持する必要があるなど利用条件が少し複雑です。

規模が大きくなってきたら

副業の規模が大きくなってきた場合、開業届を提出し、個人事業主として登録することが推奨されます。個人事業主として登録すれば、確定申告で青色申告を行えたり、赤字の繰り越しができたりするなどのメリットがあるためです。

また、個人事業主として活動する中でさらに事業が大きくなった場合は、いわゆる「法人成り」を行うことで節税できる可能性があります。法人成りとは「法人化」のことで、個人として扱うよりも法人扱いにすることで累進課税率が低くなるケースで有効です。

所得が低い場合には返って損をすることになります。1年の所得が安定して800万円を超えるようになった頃を目安に検討してみるといいでしょう。

確認問題

第7章で学んだことを確認してみましょう。