第6章:より安定して案件を獲得するコツ

第2章で、在宅ワーカーの不安要素に「不安定性」があると学んだことを覚えていますか?

第6章では、つき纏う不安定性と上手く付き合い、在宅ワーカーとして安定した生活をするために重要なポイントを学びましょう。

大きなポイントとして「別に安定した収入源を持つこと」「安定して案件を受注できる環境を整えること」の2点があります。

安定した収入源を確保しよう

副業を始めた方の中には「在宅副業での収入が一時的に増えたから」と、すぐに本業を辞めてしまう方がいます。しかし、これはかなり危険です。副業は、一時的に収入が増えたとしても次の月はどうなるか見通しが立てにくく、場合によっては急に受注できる案件が前月の半分になってしまうケースもあります。

発注者と受注者の間に「継続的な案件依頼についての契約」が結ばれていないことが大きな理由です。雇用契約とは仕組みが違うので、発注者には継続して仕事を提供する義務がありません。

本業があるならそちらをおろそかにしないように

在宅ワークを副業として始める場合は、メインとして別の仕事に従事している方が多いです。その場合は、本業をおろそかにしないことが、生活を安定させるために有効な手段であるといえます。

「安定した本業があって一定の収入が見込める状態」を大切にしましょう。そうすれば、副業での収入が多少前後しても生活への影響を最小限に抑えられます。

もちろん、最終的に在宅のみで働きたいなら、どこかで本業を辞めることになるでしょう。ただ、そのタイミングは非常に重要です。ある程度経験を積んで見通しが立ってから、また、しばらく生活できるだけの貯金をしてから検討しましょう。

アルバイトをするのも効果的

本業と呼べるものがない方や、本業を早く辞めたいと考えている方は、アルバイトやパートを検討するという手があります。

雇用契約を結んで働くことになるアルバイトやパートでは、継続的な収入が見込みやすいです。また、時間の融通が利きやすい面があるので、副業との相性が良いといえます。

副業の不安定さをカバーしつつ、自分の時間を大切にしたい方におすすめです。(企業に所属している状態では、規則等でアルバイト・パートを行うのが難しい場合が多いため気をつけてください)

「家で仕事ができる」という在宅ワークの利点を重要視したい場合は、在宅でできるアルバイトもあります。少し準備や知識が必要な仕事が多いものの、条件さえ合えば魅力的な求人が多数あるのでぜひ一度探してみましょう。

より安定して案件を獲得する環境を整えよう

この項目では、「在宅ワーカーが安定して案件を獲得していくためのポイント」を学びます。

在宅ワーカーの収入は、どれだけ案件を獲得し遂行したかにかかっています。案件を獲得できる環境を整えられたら不安定さを軽減できるので、ポイントを押さえて取りくみましょう。

契約先を複数持っておこう

在宅ワーカーは、発注者からの案件依頼を受けて働きます。発注者が不要であると判断すれば案件の依頼はされません。そのため、「発注者の都合によって、案件数が前後する」という意識を常に持って行動するのが大切です。

一つの契約先しかない場合、その発注者の都合にすべて左右されることになってしまいます。

その対策として効果的なのが、契約先を複数持っておくことです。そしてそれぞれから受ける案件量を都度調整することで、「時間はあるのに仕事がない」という状況を回避しやすくなります。

具体的には少なくとも2つ以上、ご自身の技量に合わせて3,4つくらいの契約先と常にやり取りするようにしておくと良いでしょう。

ただし、発注者によっては「月あたりの最低納品数」をしているケースもあります。条件をよく確認して、無理のない範囲で活動しましょう。

複数の案件を取り扱うコツ

複数の発注者とやり取りをして案件を取り扱う場合に、特に注意しておきたい点を確認しておきましょう。

例えば「案件ごとにレギュレーションが異なること」が挙げられます。また、「スケジュール管理が難しくなること」も注意点です。それぞれのポイントや対策方法を学びましょう。

複数案件を同時進行する際のスケジュール管理

複数の案件を取り扱うということは、当然、複数の案件を同時に進行していくことになります。その際は、スケジュール管理が重要です。

副業でのスケジュール管理については、いくつかコツがあります。

まずは、スケジュールを立てるために自分の作業能力を明らかにしましょう。何にどれだけの時間がかかるか、ある程度把握しておかなければなりません。初めて行う作業は見通しが立てにくいので、少し長めに時間を設けておくのが重要です。

それぞれの作業にかかる時間がわかったら、それに少し余裕を持たせてスケジュールを組みます。この余裕が重要です。複数の案件を受けていると、一か所で仕事を受けるよりもイレギュラーな事態が起こりやすくなります。多少のトラブルがあっても納品できるように、2、3日の余裕を持たせて予定を組むのがおすすめです。

スケジュール管理をする有効な手段として、ToDoリストを作成する方法があります。やるべきことを書き出してリスト化・可視化することで、タスクのやり残しを防止できます。必要以上の焦りを感じにくくなるのもメリットです。

ToDoリストを作成するときは、なるべく具体的に、ほどほどの細かさでタスクを立てるといいでしょう。

例えばWebライティングを1本納品する場合なら、以下のような立て方をすると業務を進めやすくなります。

これは、実際に在宅ワーカーが作成しているToDoリストの例です。ぜひ、上の例を自分好みにカスタマイズして使ってみましょう。

このときのポイントは、「一つの案件について、大体3つ以上の工程に分けて考えること」「どこまで進めるのかがわかりやすいようなタスクの立て方をすること」です。

業務効率化のための3つの方法

複数の取引先からの案件を同時に進めていく場合、それぞれの業務を効率的に行うことが重要です。効率を重視すると、単純に引き受けられる案件数を増やしやすくなるというメリットもあります。

ここでは、業務効率化のために簡単にできる3つのコツを学びましょう。適した効率化の方法は、個々人の特性や作業内容によっても変わります。ここで紹介する3つは、どれも汎用性が高く、実践が簡単なものです。学んだ後はぜひ試してみてください。

1つめは、「すき間時間を有効活用すること」です。生活の中で、ぼんやりと過ごしている時間を有効活用すれば一日に進められる作業量が増えます。

在宅ワークでは、意外と細かな作業ややり取りが多く発生するので、そうしたことをすき間時間に終わらせておくのもおすすめです。特に「すぐにできるけれど手を付けるまでが億劫なこと」をすき間時間に終わらせておけば、作業時間をまるまるメイン業務に使うことができます。

また、すき間時間を活用するなら、マルチデバイスで作業できるようにしておくと便利です。また、第5章で学んだチャットワークなどの連絡ツール・アプリを、スマホにもダウンロードしておけば、メッセージのやり取りもスムーズに行えます。

ただし、くれぐれも情報漏洩などのトラブルには気をつけましょう

2つめは、「似たような業務はできるだけまとめて行うこと」です。一つの案件の中でも、同じような作業はまとめてやっておくと脳の切り替えが楽になります。

Webライティングを例に挙げると、「①ライティングのために情報を集めること」と「②文章の構成を考えること」「③実際に文を書き進めること」はそれぞれ別の作業であるといえます。

文章全体をいくつかの見出しに分けるとして、一つ一つの見出しごとに内容を調べ、執筆し、また次の見出しの内容を調べ……と進めるよりも、初めに文章全体の内容を大まかに考えておき、必要な情報を一通り調べてから下記進めていく方が効率的です。

もちろん、文の長さや内容、作業者の考え方によってどのように進めるのが効率的かは異なるので、適宜自分に合った進め方を見つけるのが一番良いでしょう。そのためのヒントの一つとしてぜひこの考え方を知っておいてください。

3つめは、「わからないことは早めに確認すること」です。「効率と関係ある?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

でも実は、「よくわからないタスク」がある状態は、想像以上にストレスになりやすいです。大きなストレスを感じている状態では万全のパフォーマンスは発揮できません。

また、「よくわからないタスク」はどう対応していいかわからないので後回しにされやすいのも困った点です。

それならば、不明点は早く解決してしまう方が効率的といえます。不明点が出てきたらどこに相談するか、どこを確認するかをあらかじめ決めておくと、確認作業への抵抗感も減らせます。

業務効率化のための便利ツール

業務効率化に役立つ便利なツールとして、さまざまなものが存在します。下記にいくつかご紹介しますので、気になるものがあれば試してみましょう。

取引先と良好な関係を築こう

在宅ワークで安定して案件を受注できる環境を作るために、取引先との関わりは欠かせません。良好な関係を築いておくことで、スケジュールの見通しが立てやすくなったり、他の案件を案内してもらえる可能性が出たりするというメリットがあります。

「良好な関係」といっても、世間話などで親睦を深めるという意味ではありません。特に在宅ワークの案件を大量に発注している企業にとっては、世間話をする余裕はない場合が多いです。返って印象が悪くなるケースがあるので、避けた方がいいでしょう。

ではどうすればいいのかといえば、「手抜きをしないで業務を遂行すること」「納期を必ず守ること」「不明点は都度確認すること」「丁寧ですばやい業務連絡を心がけること」などがあります。どれも社会人として当然のことといえるでしょう。

こうした業務上のやり取りの中で、取引先に信頼してもらえる在宅ワーカーになることを目指しましょう。第3章で学んだ「三方良し」の考え方を踏まえて行動するのが効果的です。

継続する見込みがあるか・他の仕事はないかを尋ねてみよう

在宅ワークを続けているうえで、取引先からの案件がもらえない状況が続くこともあります。その場合は、案件発注状況や今後の予定を直接尋ねてみるのも一つの手段です。

目途が立っていれば教えてくれるケースが多いです。発注者側の計画が未定の場合はしばらく発注がないものと考えて、別の取引先からの案件受注を増やすなどして対応できます。

また、尋ねることで別の案件を案内してもらえることもあります。

良心的な発注者の場合、案件の発注状況を聞いたからといってその後の業務に影響が出るケースはほとんどありません。困ったときは安心して尋ねてみましょう。

確認問題

第6章で学んだことを確認してみましょう。