第3章:求められるワーカー像

第3章では、「求められるワーカー像」として、在宅ワーカーに必要な力や心構えについて学習します。出勤して働く場合との違いなどを意識しながら理解していきましょう。

在宅ワーカーに求められる力

この項目では、在宅ワーカーに求められる力について学びます。この先を読み進める前に、ぜひ一度自分で「どんな力が求められるか」を考えてみましょう。

どうでしょうか。イメージは浮かびましたか?

それでは答え合わせをするような感覚で、以下の画像をご覧ください。在宅ワーカーに求められる力の中でも、必ず身に付けるべき力を厳選しました。

スケジュールとタスクを管理する力

スケジュールを管理する力は、在宅ワーカーでなくとも働く方にとっては重要です。特に在宅ワーカーは、案件を受注したら自分でスケジュール管理をして納期に間に合うように作業を進めなければなりません。そのため、より一層スケジュール管理力が問われます。

体調不良や急な機材トラブルなどがあっても納期に間に合わせられるように、できるだけ早め早めの作業を心がけるのが理想です。

スケジュール管理のコツは第6章で学ぶので、そちらもあわせて確認しましょう。

自分を律する力

どこかへ出勤して働くのと在宅ワークとの大きな違いとして、自宅という環境には誘惑が多くある点があります。

出勤する場合は、その場に着いてしまえばいわば「仕事以外にすることがない」状態である場合が多いです。多少強引でも仕事に意識を向けられます。

また、出勤中に自分の意識を「今から仕事をするぞ」というモードに切り替えやすいというのも利点です。周囲にも同様に仕事に勤しむ人がたくさんいるのも、気持ちを仕事に向けるのに一役買っているといえます。

一方、自宅で働く場合は、そうした環境による効果をあまり期待できません。仕事以外のやるべきことややりたいことが周りにたくさんある状態で、それでも仕事へ意識を集中させる必要があります。

その意味で、どんな状態でも仕事に集中するよう、自分を律する力が必要です。

本資格を学んでいる方の中には、「そういうのは少し苦手……」という方もいるかもしれません。その場合は、集中できるような工夫を凝らしましょう。具体的な方策については、この章の後半で学びます。

自分で案件を獲得する力

在宅ワークは、主に自分で取引先を見つけ、やり取りをし、案件を獲得していく必要があります。自分で案件を獲得する力は、在宅ワーカーの必須要件です。

案件を獲得する方法は、第4章で詳しく学習します。初心者が自分に合った案件を探す方法、それを受注する方法を把握して、実践的な一歩を踏み出しましょう。

無理なことははっきり断る力

副業として在宅ワークを行う場合でも、それを本業にする場合でも、「自分にできることを見極める力」と「必要以上に自分を追い込まないような立ち回り」は重要です。長く活動を続けていくためにも、自分の技量を把握しながら無理のない範囲で働きましょう。

そのためには、「無理なことは無理だとはっきり断る力」が大切です。

例えば、もともとの契約にないことまで取引先から依頼された場合、すべての要求を飲んでいては次の仕事へ進めません。ただ、「少しの手間で済む修正などであれば、依頼通りに修正する方が継続的に依頼されやすくなる」という考え方もあります。

自分である程度損得勘定を行い、納得のいくように働きましょう

在宅ワーカーが持つべき心構え

続いて、在宅ワーカーが持っておくべき心構えについて学習しましょう。

基本的にはどんな社会人にも共通する考え方です。しかし、在宅副業ワーカーは自分の裁量で行動する部分が多い分、そうでない方よりもより一層の責任感を持つ必要があります。

どういった意識で、どんなことに気をつけて行動すればいいかを知ることで、行動決定のヒントにしましょう。

仕事には責任をもって取り組もう

これは当然のことですが、仕事には責任をもって取り組みましょう。副業として案件を受注する場合でも同様です。どの仕事でも、契約が交わされ、金銭のやり取りが発生しています。

特に在宅ワークの場合、同じ発注者から継続して案件を受注できるかどうかは、ワーカーの技量や信頼度にかかっています。おざなりな作業では信頼を得られません。

「仕事に責任を持って取り組む」とはどういうことか、さらに詳しく確認してみましょう。

ホウ・レン・ソウは迅速に行おう

「責任を持て」といわれても何をすればいいかわからない、と悩んでしまう方は、まずはホウ・レン・ソウを徹底するところから始めましょう。ご存知の方も多いかもしれませんが、ホウ・レン・ソウとは「報告・連絡・相談」のことです。

案件を一つ受注できたら、取引先とのやり取りはこまめに行いましょう。何か失敗したときやトラブルがあったときにだけ行うわけではありません。不明点があった場合はすぐに「相談」、案件を提出する場合は必ず「報告」、何か要望がある場合や確認しておきたいことがあるなら「連絡」など、業務を遂行する上でやり取りは欠かせない工程です。

ホウ・レン・ソウを徹底しなければならないのはわかっていても、どうやってすればいいかわからない。怒られてしまいそうで怖い。と感じる方がいるのも事実です。「ホウ・レン・ソウ」のコツをまとめましたので、参考にしてみましょう。

また、取引先とのやり取りのコツについては第5章でも詳しく学習します。

伝えることを明確にする

何のためのメッセージなのかを明確にすると、文章を作りやすくなります。

「何についての質問(もしくは報告)なのか」「なぜこの連絡をしているのか」「(相手に)どういったアクションを求めるのか」「(必要ならば)謝罪の意」を最低限盛り込むようにしましょう。

なるべく早く行動する

「伝えた方がいいかもしれない」という事柄を見つけた時点で、なるべく早く伝えるようにしましょう。

その方が、その報告によって何かを修正する必要が生じた場合も対応が楽です。

わからないことは自分で調べよう

在宅副業ワーカーは、わからないことは自分で調べるのが基本です。特に技術面については、取引先に直接尋ねるのは避けた方がいいでしょう。

本やネットの情報が役に立ちますが、一つの記事などから得る情報では信用性に不安が残ります。必ず複数の場所から情報を得るようにし、最終的には自分で判断していくことが重要です。

相談できる相手がいる場合はそちらに相談するのも構いません。しかし、案件内容について詳しく話してしまうと、情報漏洩として契約違反になってしまう可能性があります。注意してください。

もちろん、初心者向けの案件の場合は細かな疑問点に答えてくれる発注者もいます。ただしその場合も、その案件に関する最低限の技量を持っていることが前提です。

「わからないことはまず調べる」という癖をつけておきましょう。

ただし!発注者に確認すべき事項はしっかり尋ねること

前の項目で、「わからないことは自分で調べるのが基本」と学びました。

しかし、「わからないこと」が発注者に確認しなければならないことであるケースもあります。このケースでは「自分で調べないといけないから……」といくら悩んでも解決しません。

技術や知識の不明点なのか、業務上の確認するべき点(発注者の意向に沿うべき点)なのかを区別して考えましょう。

何がどちらに当てはまるのか、よくある一例を下記にまとめました。最終的にはケースバイケースではありますが、参考として活用してください。

「三方良し」の考え方を知ろう

ビジネスの場で重要な考え方として、「三方良し」と呼ばれるものがあります。江戸時代に強い力を持っていた近江商人が大切にしていたと考えられている心得です。

在宅副業ワーカーにとっての三方はそれぞれ何かについては、色んな捉え方ができます。ひとまずは想像しやすさを重視して、「売り手」は自分自身のこと、「買い手」は発注者のこと、「世間」は納品物を実際に目にしたり使ったりする人のことだと捉えてみましょう。

発注者が理想とする品質・スケジュール・報酬額で、案件を引き受け納品することはもちろん重要です。しかし、発注者だけが満足する条件では、受注者である在宅ワーカーの生活が苦しくなります。だからといって、在宅ワーカーの希望をすべて満たし、破格の報酬額が得られる案件はそうありません。

「発注者の理想と受注者の理想、両者のバランスが取れた条件」を模索することが重要です。その上で、納品物の品質が高まれば、それを目にしたり使ったりする人にとってもプラスになります。

この考え方は、契約内容の交渉をする上で知っておきたいものです。自分勝手すぎるのはもちろん、「気を使いすぎるのも良くない」と意識しておきましょう。

オンとオフの区別をつけよう

在宅ワーカーにとっての悩みになりやすい事項として、オンとオフの区別がつけにくいというものがあります。在宅ワークという働く場所と生活空間が混ざりやすいことなどが主な理由です。

また、プライベートと仕事用のスマホが同じ場合も多く、24時間取引先とやり取りができる状態であるため、時間的な区切りもつけにくいといえます。

オンとオフの区別がない状態は、身体的にも精神的にも負担が大きくなりがちです。

下記で、オンオフの区別をつけるコツを学んでください。

時間的な区切りをつける

在宅ワーカーがオンとオフの区別をつけるために、自分で業務時間を設定する方法が有効です。

夜間などに緊急の連絡以外は返さない時間を設けたり、週に一定数は在宅ワークをしない曜日を設定したりして、生活にメリハリをつけましょう。取引先との連絡に使用するツールのプロフィール欄などに休日を明記しておくと、発注者からも状況を把握しやすいのでおすすめです。

「つい境目があいまいになってしまう」と悩む方は、アラームなどを使って、感覚的に区切りがわかりやすいよう工夫しましょう。

環境から変える

時間的な工夫の他にも、環境的な要素に注目することで、オンとオフの区別がつけやすくなります。

例えば、家の中の一部屋を仕事用にしてしまって、「その中では必ず集中する」と決めてしまうのも良いでしょう。余計なものを周りに置かないようにすれば、さらに集中しやすい環境になります。ワンルームなどにお住いの場合でも、部屋の中で仕事をするエリアを決めてカーテンや簡単なパーテーションなどで仕切るなどして工夫が可能です。

また、「特に集中したいときにはカフェなどで作業をする」という方もいます。

自分の中で、切り替えができるような方法を探してみるのが大切です。

確認問題

第3章で学んだことを確認してみましょう。