第2章:ヨガの効果と種類

ヨガの効果

ヨガは、肉体的な健康だけでなくにも働きかける様々な効果があります。

ヨガでいう健康とは、単に肉体の健康や病気でない状態のことではなく、様々な身体の器官が健全に働くとともに、身体に生命力がみなぎり、ストレスや緊張がないやすらいだ精神状態のことです。

筋肉や関節を動かすことで、呼吸器・消化器・循環器などの機能が高まるのはもちろん、リラックス効果により神経のバランスが整って精神面での変化が感じられるようになります。

この身体と精神の総合的な効果は、あらゆる症状に発揮され、健康的な生活習慣の定着につながります。

①柔軟性向上
ヨガのポーズは硬くなっていた筋肉を伸ばして、背骨や関節をあらゆる方向に動かしたりすることで柔軟性が向上します。

②筋力アップ
ヨガは自分の体重で負荷をかけながら様々なポーズを行います。

筋トレのように必要以上の負荷をかけることはないので、ほどよく身体が引き締まってしなやかなボディラインを作ります。

③ストレス解消
鼻から吸って鼻から吐くヨガの呼吸法は、ストレス解消に効果的です。

ゆったりと安定した呼吸に合わせて様々なポーズを行うことで、全身の筋肉が緩んで血行が良くなり、体内の老廃物を排泄します。

心に溜まっていた緊張やストレスなども解消されて、清々しい気分になります。

④神経機能の安定
ゆったりと意識的に呼吸をおこなうことで、緊張とリラックスが取り入れられて自律神経のバランスを整える効果があります。

⑤精神的に落ち着く
心がガチガチに緊張していると、身体もガチガチに硬くなります。

ヨガの深い呼吸や様々なポーズで身体がほぐれると、自律神経のバランスが整って精神的なイライラや不安が軽減されて精神的な落ち着きが感じられます。

⑥集中力向上
ヨガには、いろいろな方向に飛び散っていたエネルギーを自分に向けて集中力を高める効果があります。

世界で活躍するビジネスパーソンやスポーツ選手たちの多くは、ヨガを実践して集中力を高めてパフォーマンスを向上させています。

⑦姿勢改善
日常生活では使わない筋肉や関節を動かしながらポーズをおこなうことで、インナーマッスルや体幹が鍛えられ、骨盤や背骨の歪みが改善されて姿勢がよくなります。

身体のバランスが整うと、肩こり、腰痛、むくみといった身体の不調が緩和されます。

⑧内臓機能が活性化
ヨガで内蔵を刺激したりマッサージすると便秘解消、消化力アップ、血行促進の効果が期待できます。

特に、身体をねじるポーズは老廃物を排出して代謝がアップする効果があります。

⑨免疫力が上がる
ヨガの呼吸法は、横隔膜を大きく動かしながら体内に酸素を取り入れ、内側から温めて自律神経のバランスを整えます。

体内の酸素量が上がると免疫力も上がって、細菌やウイルスなどの異物を身体から排除します。

⑩デトックス
ヨガで血行が促進されると内側から身体が温まり、体内に溜まっていた老廃物を排出する効果があります。

体内に老廃物が溜まると、慢性的な疲労・便秘・むくみ・肌荒れ・肥満・気分が落ち込むなど心身に悪影響を及ぼします。
ヨガは身体だけでなく心のデトックスにも効果的で心身共に清々しい気分になります。

4つの伝統的なヨガ

バガヴァッドギーターというヨガの叙事詩の中には、4つの伝統的なヨガについて書かれています。
この伝統的なヨガは、現代のように身体を動かしません。

Karma Yoga (カルマヨガ)

カルマ=行為
他人の幸せ、他人が心地よくなるために自分が無償で奉仕する。

日常生活を修行の場と考え、奉仕の心で行動することでカルマを解消するとし、自分の人生に起こることは全てカルマ(自分のおこない)の結果であると言われている。

Bhakti Yoga (バクティヨガ)

バクティ=愛・献身・信仰のヨガ
尊敬を込めた献身という意味で、信仰の対象への祈りを大切にする。人格神や聖者を愛し、高い理想を持つことで我欲を手放していく。チャンティングやキルタンを歌ったりすることでハートをよりオープンにさせる。

Jnana Yoga (ジュニャーナヨガ)

ジュニャーナ=知識
肉体や周りの全ての物は何も意味がなく本当の私とは何か?をただ問うといった、深い部分で「経典」「理由」「経験」に触れて問答する哲学的なヨガ。

賢人や聖者と呼ばれる人たちにジュニャーナヨガ行者が多いと言われている。

Raja Yoga(ラージャヨガ)

ラージャ=王様
経典「ヨーガ・スートラ」にもとづき、瞑想が中心でポーズは坐法のみの自分自身を深く見つめるヨガ

「王道のヨガ」「マハーヨガ」とも呼ばれ、全てのヨガに多大な影響力がある。
ハタヨガはラージャヨガから派生している。

ハタヨガ

わたしたちに馴染みのあるハタヨガは、ラージャヨガから派生して生まれました。

ハタヨガはサンスクリット語で、ハ(ha)=太陽タ(tha)=ヨガ=結ぶ、繋ぐという意味があります。
太陽と月、陽と陰、吸う息と吐く息というように、この世界には様々な二極が存在します。

ハタヨガはその相反する2つを結び、エネルギーを調和させバランスを取ることを目的とします。
ラージャヨガと異なり、ハタヨガはまずアサナから始まり、プラーナヤーマを使って気の流れを制御してから瞑想に入ります

心や身体を動かす原動力であるプラーナ(気)の流れを重視し、過度に緊張していた身体と心のコリをほぐして、集中力を高めて自分自身と向き合います。

ハタヨガとして分類されるヨガ

アシュタンガヨガ

太陽礼拝から立位、座位、逆転、シャバーサナまで一連の順番が決まっていて、呼吸に合わせて途中で中断することなく流れるようにポーズをおこなうのが特徴的。数あるヨガのスタイルの中でも最も運動強度が高く、ダイナミックでエネルギッシュ。

アイアンガーヨガ

BKS・アイアンガー氏が創設した、肉体と精神のリラクゼーションと身体の歪みを正していくことを目的としたヨガ。

プロップスと呼ばれる補助道具を使ってポーズをおこなうので、特定の病気やケガのある方や年齢を問わず無理なくヨガの効果を最大限に引き出すことができる。

シヴァナンダヨガ

西洋医学の医師であったスワミ・シヴァナンダが確立した「知性・心・身体・精神」の4つの要素を均等に保つことを提唱したヨガ。

ヨガだけでなく、瞑想や呼吸法、食事を重視して総合的に心身のバランスを整える。

常生活で乱れがちな心身のバランス感覚を取り戻すことを目的に、身体を動かすアサナ(ポーズ)だけでなくで、精神的な強さを高めることにも繋がる。

クリパルヨガ

クリパルとは、サンスクリット語で「思いやり、慈しみ」という意味がある。

伝統的なヨガの哲学やヨガのポーズを基に、セラピー要素を加えたことで独特のスタイルが確立されているヨガの流派。

アサナを通して自分の内側で起きている感覚や呼吸に意識を向けて、今起きていることをありのまま受け止めて観察することを重視している。

クンダリーニヨガ

体内エネルギーの出入り口とされるチャクラを活性化させ、潜在意識をクリアにして神経システムのバランスを整えるのが特徴的。

エネルギーが上昇することによって心・体・魂のバランスが整い、さまざまなヨガの中でも「最も総合的で完成されたヨガ」と言われる。

サンスクリット語で「愛するものの巻き毛」を意味するクンダルから由来。

ヴィンヤサヨガ

Vinyasa(ヴィンヤサ)とは、サンスクリット語でVi=特別な方法、Nyasa=設置するという意味。意識のある進化の流れのこと。

アシュタンガヨガをベースとした、20世紀になってから誕生した比較的新しい流派。現代ヨガの主流として、日本でも近年人気があるヨガのスタイル。

パワーヨガ

太陽礼拝をベースに流れるように様々なポーズを行っていくアシュタンガヨガと、一つ一つのポーズを丁寧にキープしてアライメントを重視するアイアンガーヨガをベースに考案された。

アシュタンガヨガを象徴する「」の動きと、アイアンガーヨガを象徴する「」の動きを組み合わせて流れるようにおこなうのが特徴。

陰ヨガ

中国の伝統医学である中医学の陰陽五行説に基づき、身体を流れる気(Chi)の通り道である経絡を刺激するポーズをおこなうセラピー要素の強いヨガ。

ひとつのポーズを3分から5分、深い呼吸とともにキープして身体と心をリラックスさせる。
トレーニングのようにアクティブに身体を鍛えるというよりは、身体の巡りをよくして心身のバランスを調整していくヨガです。

その他、ホットヨガ、岩盤ヨガ、SUPヨガ、マタニティヨガなどもハタヨガに分類されます。

確認問題

第2章で学んだことを確認してみましょう。