第3章:色・ファッション・メイク

この章では、パーソナルカラーをファッションやメイクに落とし込む際に必要な知識を学んでいきます。

コーディネートを考えるときに役立つ配色の基本、色がもたらす効果を見ていきましょう。

配色の基本とは?

配色とは、2色以上の色を組み合わせることをいいます。

配色テクニックの種類や効果を学んでいき、ファッション・メイクに応用していきましょう。

配色テクニック

美しい配色を提案していくだけではなく、なぜその配色が良いのかを理論的に説明できるようにします。日常でよく使う様々な配色テクニックをこれから紹介していきます。

アクセントカラー

配色全体を引き締めるために使う狭い面積の色のことを「アクセントカラー」といいます。配色が単調で平凡になったときに、アクセントカラーを加えると効果的です。

配色例①

色相差が小さく、高明度同士で変化の少ない配色です。

中央に低明度の無彩色をアクセントカラーとして加えることで、全体が引き締まって見えます。

配色例②

2色ともに低彩度色を使った変化の少ない配色です。

中央に高彩度のアクセントカラーを加えることで、全体が引き締まって見えます。

セパレーション

色の対比が強い配色、2色の差があいまいで弱い配色の際に、境界部分に別の色を入れて色を分離することで、配色をやわらげたり引き締めたりします。

配色例①

色の対比が強い配色ですが、中央に無彩色を加えることでやわらげることができます。

配色例②

2色の差があいまいで弱い配色ですが、中央に低彩度色を加えることで全体的に引き締まって見えます。

グラデーション

色を段階的に変化させる多色配色をグラデーションといいます。

コーディネートに変化をつけながらも、まとまりやすくする効果があります。グラデーションを作るためには「色相・明度・彩度」を規則的に並べる必要があります。

同じ色相を使用しても、順番がバラバラだと流れが生まれないので、不安定な印象になってしまいます。

色相のグラデーション

下記の例は、色相を段階的に変化させたグラデーションです。虹や夕焼けの色、色相環などは色相のグラデーションの一例です。

明度のグラデーション

下記の例は、明るさを段階的に変化させたグラデーションです。一般的に明度が高いと軽く、明度が低いと重く感じられます。

彩度のグラデーション

下記の例は、彩度だけを段階的に変化させたグラデーションです。一般的に再度が高いと派手になり、彩度が低いと地味に感じられます。

レピテーション

レピテーションとは、繰り返しという意味があります。

2色以上の統一感のない配色でも、それを繰り返すことで一定の秩序に基づく調和を生み出していくことができます。ブロックチェックやタータンチェックなどの柄もレピテーションの一例です。

ビコロール配色

ビコロールとは、イタリア語で「2色の」という意味があり、コントラストがはっきりした2色の配色のことをいいます。英語ではバイカラーと呼んでいます。

高彩度同士の対照的な色相、高彩度色と無彩色、明度差のある有彩色同士、明度差のある無彩色同士の4パターンが存在します。

トリコロール配色

トリコロールとは、フランス語でトリが「3つの」、コロールが「着色した」という意味であり、色相や明度、彩度の差が明快な3色配色です。

コントラストを明瞭にするためには、高彩度色の組み合わせが効果的です。これに白・黒を合わせるとセパレーション効果で明快さが際立っていきます。

色の心理的効果とは?

やわらかい色、軽い色、派手な色といった色の心理的効果には、色の三属性が関わってきます。ファッション・メイクに効果的に役立てていきましょう。

印象への効果

人が物を見ると、色によって遠近感・大きさが変わって見えることがあります。

このように、色には心理的な働きがあります。

進出色・後退色

実際より飛び出して見える色が「進出色」、奥まって見える色を「後退色」とよんでいます。

これには色相が強く関わっていると言われており「赤、橙、黄」などは近くに「青、青紫」などは遠くにあるように感じます。明度では、高明度色の方が低明度色よりも近くに感じられます。

  • 進出色→暖色系の色
  • 後退色→寒色系の色

上記の画像は同じデザインですが、赤は進出色で中央が飛び出して見えて、青は後退色で中央が奥まって見えるので、赤が凸、青が凹の立体に見えます。

これを応用して、部屋の奥の壁紙を寒色系の色にすることで、実際の部屋の広さよりも広く見せることができます。

膨張色・収縮色

同じ大きさでも、白いと大きく見えて黒いと小さく見えます。大きく見える色を「膨張色」小さく見える色を「収縮色」とよんでいます。

これには明度が強く関わっており、色相の影響はあまりありません。

ちなみに、碁石は見た目を同じ大きさにするために、白が0.3mm小さく作られています。

  • 膨張色→白などの明度が高い色
  • 収縮色→黒などの明度が低い色

やわらかい色・かたい色

色をみたときの「やわらかい・かたい」イメージは主に明度が関係しています。

明度が高いとやわらかく、明度が低いとかたく感じます。柔軟剤のボトルはふわふわの衣類をイメージさせるやわらかめの色が多く、ベビー服も赤ちゃんの肌のやわらかさに合わせて、パステルカラーが使用されています。

やわらかい色→明度が高い色

かたい色→明度が低い色

軽い色・重い色

色には軽く感じられる色、重く感じられる色が存在します。

これには色の明度が大きく関わっており、明度が高いと軽く見えて、明度が低いと重く見えるようになります。同じ重さの黒い箱と白い箱を持ち上げると、大勢の人が黒い箱の方が重いと感じます。

軽い色→白などの明度が高い色

重い色→黒などの明度が低い色

興奮する色・沈静する色

色による興奮・沈静には、色相と彩度が大きく関わっています。

一般的に彩度が高い暖色系の色は興奮させて、彩度が低い寒色系の色は沈静させる効果があります。

実際に、多くの実験で心拍数の変化が確認されており、寝室には沈静色を取り入れるとリラックス効果があります。

興奮する色→赤・橙・黄などの暖色系の高彩度色

沈静する色→緑・青などの寒色系の低彩度色やグレイ

派手な色・地味な色

派手な色・地味な色という表現を日常的にしていますが、これには彩度が大きく関係しています。

彩度が高いと派手に見えて、彩度が低いと地味に見えます。暖色系の赤でも彩度が低ければ地味になり、寒色系の青でも彩度が高ければ派手に感じられます。

派手な色→色相を問わず、純色に近い彩度の高い色

地味な色→色相を問わず、彩度の低い色

ファッションアイデア

パーソナルカラーアナリストは、似合う色を提案するだけではありません。その人が素敵に見えるようにファッションの提案をすることが求められます。

ファッションにおける配色、おしゃれに見えるテクニックを学んでいきましょう。

基本の2大配色とは?

似合う色を身につけていたとしても、色の合わせ方がよくないとおしゃれには見えません。次の2つの配色はまとまりやすくておすすめです。

ベーシックカラー×さし色

ベーシックカラーにさし色を合わせるコーディネートです。

服をベーシックカラーでまとめる際には、バッグや靴、ベルト、アクセサリーなどの小物はさし色を使うのもよいです。

ワントーンコーデ

同じ色・同系色でまとめるワントーンコーデです。

淡い色同士を合わせるとやさしい印象になり、濃い色同士を合わせると強い印象になります。濃い色と淡い色を合わせると、ハツラツとした印象になっていきます。

ファッションの6つのコツ

①配色は3色以下

多く色を使い過ぎてしまうと、まとまりがなくなります。

優彩色3色以下を目安にしていき、濃淡のような同系色は1色と数えていきます。「白・黒・グレイ」などの無彩色は、この3色に含まなくても問題ありません。

②さし色は明度・彩度を離す

ベーシックカラーのさし色は、使用しているベーシックカラーと明度・彩度が離れている色を合わせるようにします。

③スカーフ、金銀の小物があると良い

自分に似合うカラーのスカーフは、顔の映りをよくするだけではなく、コーディネートのアクセントにもなります。ゴールド・シルバーの靴やバッグは、コーディネートに立体感を出すことができるので、1つ持っていると便利です。

④白・黒を上手に取り入れる

無彩色は有彩色に比べてに合わない色としての影響が小さいです。

白・黒はパーソナルカラーを気にせず取り入れても問題ありません。白・黒は多くの色との相性がよいため、コーディネートがまとまりやすくなります。

⑤流行色を取り入れる

流行色は、服ではなく小物で取り入れると失敗が少なくなります。

自分も世間も見慣れていないこともあるので、面積の小さい小物で慣らしていきます。自分に似合うカラーではない場合には、靴やバッグなどの顔から離れた小物に取り入れてみてください。

⑥ワントーンコーデにしめ色・抜け色を活用する

ワントーンコーデは、どうしてもぼやけた印象になりがちです。

靴やバッグ、ベルトなどの小物で色を入れていきます。淡い色のコーデには濃いめのしめ色を足すことで引き締まります。濃い色のコーデには、淡い抜け色を足すことで全体がまとまります。

自分に似合う貴金属

  • イエローベース→ゴールド
  • ブルーベース→シルバー

SPRING TYPE

スプリングタイプは、春のイメージ、明るいカラーがぴったりです。

春に咲く花・葉のようなエネルギーを感じられる色が得意です。顔まわりに身につけていると、血色が増して生き生きとした表情に見えてきます。ベースカラーはアイボリー・キャメルなど、黄色みのある色がおすすめです。

逆に寒色系カラーやくすみカラーは苦手な人が多く、肌がくすんで見えたり表情が暗い印象になってしまいます。ビビッドカラーも顔に馴染みにくく派手な雰囲気になってしまうので、取り入れる場合には小物で取り入れていきましょう。

SPRING TYPEにおすすめのコーディネート

似合うメイクカラー

ここでは、スプリングタイプにおすすめのメイクカラーを紹介していきます。

ファンデーションなどのベースになるものは、首の色に合わせて選んでいきましょう。

ベースメイク

スプリングタイプにおすすめのファンデーションは「ベージュ系」「オークル系」です。

透け感の強い肌の場合には、ライトベージュやアイボリー系でも良いです。赤みの強いピンク系のファンデーションの場合には、浮いてしまうので注意が必要です。

アイシャドウ

アイシャドウは、黄身を感じられる鮮やかなカラーがおすすめです。

ツヤ感のでるクリームアイシャドウ、ゴールドラメのアイシャドウも肌が明るく見えるようになります。

マスカラ・アイライナー

ブラックは目力をアップさせる定番のカラーです。

ブラウン・バーガンディなら、瞳の色とマッチして目元にぬけ感を出してくれます。ふんわりした印象に仕上げたい人は、濃いめのアイシャドウをアイラインのようにスッと引くのもおすすめです。

チーク

チークは、黄みの入った明るいオレンジカラーがよく似合います。じゅわっとした血色感がプラスされて、肌が明るく見えて華やかな印象になります。

リップ

チークと同様に、リップは黄みのある明るいカラーがおすすめです。

春に咲く花のように鮮やかでフレッシュなリップを付けると、可愛らしさが引き立ちます。

SUMMER TYPE

サマータイプは、涼しげでやわらかい色がよく似合います。

明るいくすみカラー・寒色系のパステルカラーがぴったりで、コントラストが抑えられた淡い色の服でまとめると透明感が増して上品な雰囲気になります。

反対に、黄みがかった色や鮮やかな色を顔の近くに持ってくると、顔がくすんで見えてしまいます。また、深みのあるくすみカラーはクマが目立ちやすく、ビビッドカラーは顔の印象とのバランスが崩れやすい傾向にあります。取り入れる場合には小物がおすすめです。

SUMMER TYPEにおすすめのコーディネート

似合うメイクカラー

ここでは、サマータイプにおすすめのメイクカラーを紹介していきます。

やわらかい雰囲気を引き立てるのは、パステルカラー・淡めのビタミンカラーです。肌の透明感がアップして、儚い印象になります。

ベースメイク

おすすめのファンデーションはピンクオークル・ピンクベージュです。

コントロールカラーを使う場合には、青白く見えてしまうブルーを避けてください。血色感をプラスするピンクや、肌の赤みをカバーするグリーンもおすすめです。

アイシャドウ

サマータイプには、パステルカラーの淡いアイシャドウがおすすめです。繊細なラメ入りのものだと爽やかな仕上がりになります。

ブラウンはサマータイプの人には苦手な色とされていますが、青みのあるブランやベージュ、グレーをミックスしたようなくすんだブラウンはなじみます。

マスカラ・アイライナー

ブラックのマスカラ・アイライナーがおすすめです。ブルーやネイビーを使うと、透明感を演出することもできます。

チーク

チークは、ふんわり発色のパステル系ピンクがおすすめです。

サマータイプの人の淡い雰囲気に、やわらかいピンクがマッチします。ラベンダーチークならくすみを飛ばして、透明感のある肌になります。

リップ

チークと同様に、ローズ系・パステル系のピンクなら、女の子らしい印象になります。女性らしさを引き出すには、カシス系もおすすめです。

ベージュリップはピンク系がより似合います。

AUTUMN TYPE

オータムタイプは、低明度・低彩度のこっくりとした深みのある色がよく似合います。

落ち着いた、暖かみのあるカラーが得意で、具体的には「暗いくすみカラー」「アースカラー」「濃いブラウン系」と好相性です。顔まわりに持ってくると、ゴージャスで艶やかな印象になります。

反対に、明るく鮮やかな色の服を着るとのっぺりとした顔つきになってしまいます。明るい寒色系のカラーは、顔色が悪く見えてしまい、メリハリのあるビビッドカラーは顔に馴染みません。取り入れる場合には、小物に入れるのがおすすめです。

AUTUMN TYPEにおすすめのコーディネート

似合うメイクカラー

ここでは、オータムタイプにおすすめのメイクカラーを紹介していきます。

オータムタイプは、くすんだ深みのある色が良く似合います。こっくりとしたカラーを身につけることで、こなれ感がアップして上品な印象になります。

ベースメイク

オータムタイプにおすすめのファンデーションは、ベージュ系・オークル系です。

黄みがかった肌の色を整えてくれます。赤みの強いピンク系のファンデーションの場合には、浮いてしまうので注意してください。

アイシャドウ

オータムタイプの人は、スモーキーで深みのあるアイシャドウがおすすめです。

ダークブラウンの瞳とマッチして、目元の存在感を引き立てます。ラメのないマットタイプのアイシャドウの場合には、大人っぽい印象になります。

粒子の細かいゴールドのラメを目尻や黒目の上にのせるとバランスがよく、ゴージャスな目元になります。

マスカラ・アイライナー

ブラックは目力をアップさせる定番のおすすめカラーです。

ブラウン・バーガンディなら、瞳の色とマッチして目元にぬけ感を出してくれます。ふんわりとした印象に仕上げたい場合には、濃いめのアイシャドウをアイラインのようにスッと引くのもおすすめです。

チーク

オータムタイプに肌なじみがよいチークは、あたたかみと深みのあるレッド系・オレンジ系・ベージュ系のカラーです。落ち着いた上品な印象に仕上がっていきます。

チークとリップの色を合わせると、こなれ感がアップします。

リップ

チークと同様に、あたたかみと深みのある黄みがかったカラーがよく似合います。

こっくりとしたマットな質感のリップの場合には、落ち着きのある大人っぽい印象が引き立ちます。

WINTER TYPE

ウィンタータイプには、メリハリのあるはっきりした色がよく似合います。

具体的には、寒色系ビビッドカラー・暗い鮮やかな色です。青みがかった色を選んでしまうと、肌がより白くツヤのある質感になります。輪郭が引き締まって、顔がスッキリして見えます。

反対に、低彩度のくすみカラーは苦手です。顔まわりにもってくると、顔色が悪く見えてしまいます。また、パステルカラーは顔がぼんやりとしてしまい、地味に見えてしまう原因になります。

暖色系の明るいカラーは、顔が黄色っぽくくすんで見えやすい傾向があるので、取り入れる場合には小物に取り入れるようにしましょう。

WINTER TYPEにおすすめのコーディネート

似合うメイクカラー

ここでは、ウィンタータイプにおすすめのメイクカラーを紹介していきます。

メリハリのある雰囲気に合うのは、ビビッドカラーや明暗がはっきりした色です。鮮やかなカラーを身につけると、肌のツヤ感がアップして見えます。

ベースメイク

ウィンタータイプにおすすめのファンデーションの色は、ピンクベージュです。透き通るような白さのウィンタータイプに血色感をプラスします。

アイシャドウ

きりっとした寒色がおすすめです。中でも、目元の透明感を高めるブルー・グレーがよいです。

ブラウン系は似合わないと言われていますが、黄みの少ない紫がかったブラウンやグレイッシュなブラウンなら、ウィンタータイプでも似合います。

マスカラ・アイライナー

ブラックのマスカラとアイライナーがおすすめです。ブルー・ネイビーを使うと、透明感を演出することができます。

チーク

青みのあるパキッとした鮮やかな発色のチークがおすすめです。

ワインレッド・カシスなど深みのある色も血色感をプラスします。くすみを飛ばすラベンダーチークなら、ハイライトの役割も果たして自然な印象になります。

リップ

チークと同様に、青みピンクや深みのある赤がおすすめです。青みピンクの場合には可憐な印象になり、深みのある赤なら大人っぽくシックに仕上がっていきます。

確認問題

第3章で学んだことを確認してみましょう。