第1章:行動に表れる本音とは?

端の席に座って安心する

電車は端の席からうまる

たとえば、ガラガラに空いている電車の席に座るとき、多くの人は迷わずに端の席を選びます。シートの真ん中に横たわるのは酔っ払いくらいで、大抵はシートの端の方から席がうまっていきます。

その理由は、行動心理学で説明がつきます。人は、広い場所にひとりポツンと置かれると不安になるからです。

端の席では、体の左右どちらかが壁や手すりによって、自分のスペースをしっかりと確保されています。背もたれと壁、手すりで体の2面を守られているため安心できるということです。

片側だけ警戒

端の席を選ぶのには、別の意識が働くこともあります。それは、心理学的な深層心理からくる「防衛本能」です。

太古の昔、人は生き延びるために常に周囲に注意して、危険から身を守ってきました。この場合、自分の全方位を警戒するよりも、岩陰に身を隠したり洞窟に潜んだりすることでリスクを最小限に減らしてきました。

端の席を選ぶのは、背中と体の片側を安全にすることで警戒の範囲を絞ることができます。範囲を絞るほど安心感は増していきます。

また、端の席なら自分のテリトリーを侵害されるリスクが半減できるというメリットもあります。

つま先は関心のある方向を向く

帰りたい時、つま先は出口を向く

デートに誘った相手が楽しんでいるのか気になるとき、自分に興味を持ってくれているのか知りたいときは、相手のつま先を観察してみましょう。

顔や体が自分の方を向いていても、つま先が別方向に向いている場合には、残念ながらあまり興味・好意を抱かれているとは言えません。もし、つま先が出口に向いていたら、それは「帰りたい」というサインです。

その他にも、脚の様子がその人の性格や心理状態を示すという事実が明らかになっています。

アメリカの臨床心理学者「ジョン・ブレイザー」の調査によって、脚の組み方や動きにはその人の基本的な性格・特徴と関連性があることが証明されています。

身近な人の脚をよく観察してみると、意外な本音も見えてきます。

触れると気持ちが落ち着く

触ることで自分の心をしずめる

「嘘か本当かは目を見ればわかる」とよく聞きますが、目や顔の表情より本音が出やすいのは「手や脚」です。手や脚には、心の内が表れます。中でも注目すべきは、動きと隠す仕草です。

ひとつは、手を組んだり、鼻や口などの顔のパーツを触ったり髪に触れたりするといった手の動きです。

嘘をついていたり不安があると、自分で自分を落ち着かせようと無意識に自分の体に触れてしまいます。これを「自己親密行動」といいます。

このように、言葉以外の部分に見て取れる「ノンバール行動」に気づくと、相手のうそを見抜くことも可能であり、逆に言えば手の動作に用心すれば嘘がバレずにすむこともあります。

動揺は見せたくない

手の動きに注目する一方で、チェックしたいのが手を隠す仕草です。

たとえば、テーブルの下にあって相手の手が見えない場合には、無意識ながら相手の視野から手を隠すことで心の動揺を悟られまいとしています。

これとは逆に、両手をテーブルや机の上に開いて置いているときは心を許して、相手がオープンになっている状態です。

腕を組むのは威張りたいわけではない

周りをシャットアウト

腕を組んでいる姿を見ると、多くの人は「威張っているように見える」と感じると思います。

腕を組むことで自分を守る壁をつくって、他者が自分のテリトリーに干渉してくるのを防ごうとしているからです。他者を排除することには「自分を守る」「自分を安心させる」というような、防衛的な心理が働いています。

これは、上でも触れたように「自己親密行動」の1つです。この場合は、まるで自分で自分の体を抱きしめるような形で腕を組みますが、これは不安・寂しさを感じているのが原因です。

幼い頃の、母親に抱きしめてもらっていたような安らぎを求めて、自分の体に触れているということです。また腕組みは、自分の世界に集中している時にも見られることがあります。いわば、周囲や他者への拒否サインです。

その分、腕組みをすると心が閉鎖的になって、外部からの情報が入りにくくなるので、社会的な場面では避けた方が無難です。

腕組みは見ている人にネガティブな印象を与えるだけではなく、自分の心理状態にもネガティブな影響を与えるということも、実験でわかっています。

攻撃的な腕組もある

一般的に腕組みから受ける印象の通り、腕組みのポーズには行動心理学的に見ても、攻撃的な意味を持つ場合もあります。

それは、相手に対して敵意・警戒心があって、対抗的な心理状態にあるとき。特に男性や上司などが部下に対して腕を組んでいるときには、自分の強さや地位をアピールして、相手を威圧している場合が多いです。

目の動きで興味の有無がわかる

目が合うと人間関係が生まれる

仲の良い友達・恋人だと、あえて言葉を交わさなくてもアイコンタクトでお互いの気持ちが伝わります。

また、カフェ・レストランでも、店員と支線を合わせて合図すると、わざわざ大きな声で呼ばなくても通じます。このように、アイコンタクトは相手と人間関係を築きたい、意志疎通を図りたいという時に効果を発揮していきます。

さらに、心理学者のナップによると、アイコンタクトには意思疎通や好意を伝えるといった目的以外にも、反応を見たり、敬意を示すといった意味もあります。

目は本音を語る?

色の濃いサングラスをかけて、どこを見ているのかわからない相手と話すとき、不安や居心地の悪さを感じます。アイコンタクトができない相手とは、良好なコミュニケーションが図れないからです。

逆に、相手の目を見れば多くのことがわかります。目や視線の動きには、隠そうとしても隠し切れない本音が表れてしまいます。

動揺したときなどに「目が泳ぐ」と言われていますが、嘘をついたり何かやましいことがあると、相手と目を合わせるのを避けてしまって目が泳いでしまいます。

ほかにも、相手の視線の動きを観察すると、相手の心理状態を推測することも可能です。

また、アイコンタクトの多い人は好意を持たれやすく、逆に目をそらしがちな人は神経質な印象を与えることがわかっています。

確認問題

第1章で学んだことを確認してみましょう。


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