コーチに求められる技術
コーチの役割は、「子供の話を真剣に聞いて、その子が内面に抱えているものを引き出すこと」です。
そのためには、【傾聴】・【承認】・【質問】の3つの技術が求められます。
子供の話をじっくり聞いて、認め、さらに質問をして話を引き出していく。
この流れを繰り返すことで、子供達は自分の考えや夢、目標に気づきます。
また、どんな行動をしたらいいのか、自分で考え、実践し、夢や目標の実現に一歩近づきます。
ですが、この時注意しなければいけないことがあります。それは、コーチ側が聞きたいことを質問するのではなくて、子供が話したいことを聞くこと。子供が話してくれたことには、評価せず、ただただ受け止めましょう!
自分の考えを言葉にして喋ってもらう
コーチの役割で大切なこと。それは、自分の考えを話してもらうことです。
話してもらうことで、本人の悩みが明確になり、解決する糸口に繋がっていきます。
ですが、人の頭は、常にいろんなことを考えています。
それはもう目まぐるしい速さで。とっても速いスピードなので、頭の中にあるうちは、自分でも認識できていないと言われています。
だから声にだして、その考えを言葉にすることで、初めて気づくこともあります。初めて自分の耳で聴くことで「わぁ。自分はこんなことを考えていたんだ!こんなことを思っていたんだ!」という発見です!
このことを【オートクライン】といいます。
この【オートクライン】を繰り返すことで、子供は自分の考えを整理します。
どんな行動をすればいいのかを明確にすると、自然と自信がつき、行動に移し始めます。
傾聴技術について
【傾聴】とは、相手の話にじっくりと耳を傾けることです。
人は誰しも自分の話を聴いてもらいたいと思っています。でも実際、自分の話をじっくり聞いてもらったと実感できる場面は少ないのでは?
そして100%の熱量で、相手の話を聞いているという人も少ないのではないでしょうか?ここでは、傾聴のポイントについて学んでいきましょう。
相手(子供)を受け止める
大人は【子供よりも経験を積んでいる!】という考えがあるため、子供をつい下に見てしまいがちです。
そんな状態では、傾聴技術は全く機能しないも同然!
そこで、子供の話を受け止めるために、「おうむ返し」をしてみましょう!
これを専門用語で【バックトラック】といいます。
このように繰り返すことで、子供の考えが明確化!
だんだん自分で考えるようになり、どう行動したらいいか等も考えるようになります。でも注意しなくてはいけない点が1つ。
【受け止めるのと、賛同するのは別物】です!
肯定も否定もせずに、「そう思ったんだね!」と、ただただ受け止めましょう。
傾聴するときのポイント
ちゃんと話に関心を持っていることを伝えるために、適切な相槌や問いかけをしましょう!
「それで?」「もっと聞かせて!」など。
子供が話しているトーンやペースに合わせて、じっくり話をきくと、子供も話しやすくなり、本音を聞き出しやすくなります。子供の話が終わったら、「今1番気になっているのは、〇〇?」と、自分の理解が正しいのかまで確認しましょう。
また、疑問点や問題点、改善点などを伝えたいときは、子供に「質問してもいい?」「アドバイスしてもいい?」など、許可を取ってからにしましょう。
おすすめの座り方
話しやすい環境を作るためには、座る位置も大切です。
正面だと…
隣同士だと…
90度だと…
→リラックスしながら話をするには、まずは90度の座り方がオススメです。
承認技術について
【承認】とは、相手(子供)のいいところを見て、それを言葉にして伝えることです。人は認められると、チャレンジ意欲がアップして、承認してくれた人への好意も増します。
また、心を開きやすくなるものです。
子供の自己肯定感をアップさせるためにも、ここでは承認技術を磨いて行きましょう!
相手(子供)のいいところを見て言葉にする
相手(子供)が出した「結果に対して褒めること」が承認だと思われがちですが、実は、「結果までの頑張り」を褒めることが大切!ちょっとしたことでも、見逃さずに承認することで、子供の励みになります。
また幼い頃から承認することで、自己肯定感をより高めることができますよ!
3つの承認
承認には種類があり、【存在承認】・【結果承認】・【行為承認】の3つに分けられます。
【存在承認】
【結果承認】
【行為承認】
→結果承認の効果は、0なわけではありませんが、やはり結果を出すまでの「頑張り」を褒める・認めることが大切です。
【存在承認】や【行為承認】をしないで、【結果承認】だけがされると、相手(子供)は「結果を出さないと褒めてもらえない・認めてもらえない」と思ってしまいます。
なので、できなかったことに注目するのではなくて、できたことに注目をして、承認を行いましょう。
効果的な承認の仕方
承認をする上で、素直に喜べない人(子供)もいます。
「何か裏があるのではないか。」と疑ってしまったり、探ってしまうのです。
なので、褒めるときはちゃんと【タイミングよく、具体的に、心を込めて】褒めましょう!
適当に褒めても効果はないですし、「ちゃんと見てくれている」「自分のことを認めてくれてる」という感覚が、自己肯定感に繋がっていきます。
しかし、時には直すところを伝えなくてはいけないことも。そんなときは、肯定をしてから伝えるのがベスト!
「勉強はよく頑張ってるね!でも遅刻が無くなるともっといいよね!」というように伝えると、モチベーションは高めつつ、改善点を伝えることができます。
※ちなみに…
「勉強はよく頑張っているけど、遅刻が課題だよね。」という伝え方は、なるべく避けましょう。
人は後に言われたことの方が意識に残りやすく、苦手意識が刷り込まれてしまうそうです。
質問技術について
【質問】はその名の通り、問いかけること。
コーチングでは、質問をして、相手の内側にある答えを引き出していくので、1番大事と言っても過言ではない技術です。
なので、しっかり勉強していきましょう!
相手(子供)の中にある答えを引き出す
子供たちは普段、自分の考えよりも、正解を求められる機会が非常に多く、また正解は誰かが教えてくれるものだと思っているので、わざわざ自分で考えるのが面倒くさいと感じているようです。
そのため、子供が自分の考えを言えるようにするには、日頃から「子供自身が自分で考えるルーティン」を作る必要があります。
こちらから指示を出した方が早いとは思いますが、質問することで自発性が育つので、そこはグッと堪えて、子供に考えさせましょう。
また、日常的な質問は、「こちらが知りたいこと」を質問しますが、【コーチング】では、相手のやる気を引き出すための質問を行いましょう。
質問の仕方
相手(子供)が抱えていることについて、解決するためには、「いつ?」「どこで?」「誰が?」「何を?」「どうやって?」「どんな形で?」「どの程度まで?」と、どんどん焦点を絞って質問していきます。
まずは広い質問から始めて、徐々に具体的な質問をして落とし込んでいきます。
大きなチャンク(かたまり)から、小さなチャンクにしていくので、このことを【チャンクダウン】といいます。
ウォーミングアップ
質問は、大きく分けて2種類あります。
コーチングでは、【拡大質問】を使用しますが、なかなか答えてくれない・答えられない相手(子供)には、【限定質問】からウォーミングアップしていきましょう!
答えやすい質問から始めることにより、この後つづく質問で、自分の考えをより話しやすくなります。
確認問題
第3章で学んだことを確認してみましょう。