第1章 オンラインキャリアカウンセラーの倫理観

これからオンラインキャリアカウンセラーになりたいと考えている方は、はじめに「オンラインキャリアカウンセラーの倫理の遵守」について学ぶ必要があります。

キャリアカウンセリングは「対人援助職」です。

オンラインキャリアカウンセラーのみならず、対人援助を仕事とする場合には共通して必要な倫理基準を知りそして遵守することが大切です。

この章ではオンラインキャリアカウンセラーが身につけるべき、主な3つの倫理基準について学んでいきます。

3つの倫理基準

1 自己決定権の尊重

対人援助職で重要とされているインフォームドコンセント(説明と同意)は3点から成り立っています。

①自分に関することを、自分で決める権利(自己決定権)

②他者の自分に対する処置(対応)について知る権利(接近権)

③質問された時、専門職側の答える義務(還元義務)

この3点の柱で成り立っているインフォームドコンセントは「十分な説明を受けた上での納得・同意・選択」という考えです。

基本的にクライエントは自分のことは自分で決められるという自己決定権を持っていることを理解する必要があります。

2 守秘義務

対人援助職に課せられている義務で代表的なものの一つが「守秘義務」があります。

守秘義務とは、”原則としてクライエントの了承なしに、面談の内容や個人的な情報を他者に漏洩してはいけない”ということです。

仕事に関わる相談を受けていると、クライエントの生活や家庭事情など個人的な内容が話されることがあります。

そこでカウンセラーに守秘義務がなければクライエントは安心して相談をすることができません。

ただ、”原則として”という前置きがあるように守秘義務にも限界があります。それは警告義務が生じ、守秘義務を上回ると判断される時です。

犯罪や命の危険に関わると判断した場合には守秘義務よりも警告義務が上回ります。

そういった事を想定し、守秘義務と警告義務については事前にクライエントへ通知しておく必要があります。

3 多重関係の禁止

カウンセラーとクライエントはあくまでも対人援助としての契約関係にあります。

初めは理解していても、相談内容が深くなりクライエントとの信頼関係が構築されていくと契約的関係という事実を忘れてしまうことがあります。

この一線を超えてクライエントと個人的な関係を持つことを「多重関係」と言って、倫理的に禁止されています。

この様な場合も多重関係に当たりますので注意が必要です。

個人的な依頼も多重関係にあたり、禁止されている行為の一つです。

業務の範囲を理解しましょう!

オンラインキャリアカウンセラーは医療を施すような臨床心理士や特別な技術を身に付けた心理セラピストなどではありません。

あくまでもキャリアカウンセリングが業務の範囲です。

キャリアカウンセリングの業務の範囲を超した仕事は最終的にクライエントにとって重大な事態に陥る危険性もあります。

自己研鑽を忘れずに!

オンラインキャリアカウンセラーは資格を取得すればそれで終了ではありません。むしろ資格を取得してからの学習などで資質向上に努めなければなりません。

組織や経済状況などにもアンテナを張り、専門家としての維持向上に努めましょう。

倫理基準の理解と遵守は対人援助職全体の質を向上するためにも守るべきものです。

オンラインキャリアカウンセラーは対人援助を通して倫理基準の感覚をしっかり身につけていくことが望まれます。

確認問題

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