カウンセリングの種類
早速ですが質問です。
あなたが友達の恋愛相談をきいているのはカウンセリングですか?
夕ご飯は何を食べるべきかと相談されるのもカウンセリングですか?
答えは以下のカウンセリングの基本的特徴の共通点を参考にしましょう。
- 週1回、1時間程度の面談を行う
- 数回~数十回の面談から、一緒に問題解決を目指す
- クライアントから悩みを聞いて、問題点を探す
- カウンセラーは初回での助言は避ける
- 相づちを打ちながら、クライアントの話を受け入れて取り込む
- 無条件の肯定的配慮や共感的理解、自己一致を重視する
もし、友達に無条件の肯定的配慮や初回の相談で助言を行わないなどの意識があれば恋愛相談もカウンセリングの1つです。
夕ご飯のメニューについては数回の面談を行うことはないのでカウンセリングとは言いませんね。
これらの基礎的な共通点を理解して、論理的に且つ客観的にクライアントの問題解決を進めていく必要があります。
カウンセリングの分類
また、カウンセリングを分類する際には、それぞれカウンセリングの「対象」「目的」「方法」「技法」「場所」「問題」「理論(流派)」と様々な軸があり、7つの軸をそれぞれ組み合わせることで、カウンセリングは数多くの形へと変化していきます。
対象別
- 個別カウンセリング
- 家族カウンセリング
- グループカウンセリング
- 組織開発
- 地域カウンセリング
目的別
- 治療的カウンセリング
- 家族カウンセリング
- 教育的カウンセリング
方法別
- 直接コンタクト方式(面接など)
- インストラクション方式(研修会など)
- メディア方式(パンフレットなど)
技法別
- ブリーフ・カウンセリング
- クライシス・インターベンション
- コンサルテーション
- マイクロカウンセリング
- ヘルピング
場所別
- 学校カウンセリング
- 産業カウンセリング
- 福祉カウンセリング
問題別
- 異文化間カウンセリング
- キャリア・カウンセリング
- 結婚カウンセリング
理論別
- 精神分析的カウンセリング
- 行動カウンセリング
- ゲシュタルトカウンセリング
社会が求めているカウンセリングとは?
カウンセリングは浸透してきた?
カウンセリングは、一部の専門家のものではなくなっています。それは、書店の心理関係のコーナーに書籍がびっしりと並べられていたり、カルチャースクールでもカウンセリングの講座は大人気となっています。
このようなことからも、カウンセリングは一般の人から広く興味を持たれていることが分かります。
本来カウンセリングという言葉は「相談」という意味であり、心理カウンセリングに限らず、様々な分野で使用されています。しかし心のふれあいや心の交流、心の癒し、心の表現というカウンセリングの持つ一面を考えると、日常に活かせる場面は多くあります。
学校・会社でのストレス
現代では、価値観が多様化してきています。しかし、価値観が多様化して選択肢が増えた分「どのようにして生きていけばいいのか」「どのように自分らしさをだせばいいのか」を見失っている人も多いのではないでしょうか。
例えば、学校や会社では多数派に属している方が、孤立する恐れもないので安心感を得られます。そのような中、誰かがいじめられていたと場合に皆さんはどうするでしょうか。孤立してしまうのを覚悟に注意をするでしょうか。それとも、心の中でいけないと分かっていながらも見て見ぬふりをするでしょうか。
多数派に所属していながら、一方では「個性や自分らしさを見失わずにいたいと思う」というような心の葛藤が原因で、心的な症状が出ることもあります。
みんな自分らしくリラックスして人付き合いをしたいものですが、それはなかなか難しいことです。そのため日常生活の中で病気というほどではありませんが、心の不調を感じたり悩み・不安を訴える人が増えてきます。自分ではどうすることもできない。誰かの力を必要と感じた時には、迷わずに相談をしていきましょう。
様々な人に対応できる援助者
心の病にかかってしまった人も含めて、心に不調を抱えている人や悩んでいる人を心理面からサポートをしていく専門家が心理カウンセラーです。
数十年前では、カウンセラーは病院の精神科や大学の相談室などの限られた場所にしかいませんでした。それから歳月が経ち、カウンセリングが浸透したおかげもあり、現代社会において様々な価値観を柔軟に受け入れながらも多様な領域での高い専門的知識を持つ心理カウンセラーが求められるようになりました。
専門性のあるカウンセラーを目指す①心の成長をサポート
心の成長をサポートするために、ここでしっかりと様々なことを学んでおきましょう。
他人の気持ちに配慮できない子供たち
ここで、ある一人の男子中学生のケースをご紹介していきます。これは、その男子中学生の母親が話したことそのままの記述です。
彼はクラスメイトからいじめにあい、不登校になってしまいました。彼は真面目な性格をしていて、少し運動が苦手だったことがいじめの原因のようです。クラスの中の女子の言葉による嫌がらせは毎日のように続いていました。
落ちた鉛筆を拾ってあげても「汚い」と言われ受け取ってもらえなかったり、近づくのも拒まれていたので、席もみんなから離れて座らなければいけませんでした。しかし、いじめを受けていた男子中学生も初めは抵抗をしていましたが、次第に抵抗する気力を無くしてしまいます。「クラスでたった一人」という絶望感もあったようです。
教師のサポートも力が及ばず、子供の世界でもこんなにも理不尽なことが起きているのが現状です。
学校で起きていることとは?
最近では「心の教育」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは、今の学校教育への危惧感からの言葉ではないでしょうか。
度々、私語や教師へのからかいなどで授業が成立しないことも起きています。また、学校の備品も壊されてしまうこともあります。これらは、教師たちの言葉の働きかけを繰り返していても収まることが無く、生徒にいつまでも「ギャングエイジ」のような幼さを感じている教師も多いようです。
一方の生徒自身も、学校の問題点はしっかりとつかんでいます。生徒たちを対象にした「学校の問題点」についてのアンケートでは「教師と生徒の間の信頼が薄れている」「個々の生徒に対する理解が不十分」などと、学校側への不満の表れも見られています。
10代は悩みが多い
10代の子供は、それほど不満が多くなくても輪の中に入れない、暗い人間だと思われていないか気になる。目立たないように隠れてしまうなどの、気持ちに負担がかかる状態になることが多いです。また、上手に感情をコントロールできず、自分の気持ちを伝えられない10代にとっては、そこから派生していく悩みは限りなく多いでしょう。
とくに思春期で自分がどう思われているのか気になる場合には、少しずつ複雑化していく人間関係とも相まって、その傾向がはっきりと目立ってきます。
スクールカウンセラーに期待
このような学校教育の荒廃が社会問題となっているので、1995年度から文部省はスクールカウンセラーを学校に配置する事業を試行しています。また2001年度には、正規事業となって臨床心理士であることもスクールカウンセラーに応募できる資格のうちの一つとなっているところも多いです。
これは正規事業といっても、週に1~2日カウンセラーを学校に派遣するような体制です。地域によっては差があるものの、スクールカウンセラーの時給も高いです。また、常勤職になるかどうかはまだ曖昧な状態なので、専門的な知識を身につけた資格者としては十分な対応ではありません。
しかし社会問題となっている以上、常勤職になる日もそれほど遠くはないでしょう。
本講座では主流である個人カウンセリングに注力してカリキュラムを進めていきます。
また、理論別カウンセリングも後半で詳しく述べていきます。
確認問題
第1章で学んだことを確認してみましょう。